恥骨結合は左右の恥骨が連結してできる滑膜性関節です。可動性は非常に限定的で2㎜程度しかありません。
恥骨結合炎は、ホルモンバランスや靭帯の機能低下などにより、恥骨結合周辺にある筋肉(腱)や関節包などに炎症が起こっています。
本記事では恥骨結合炎の原因・症状・治療法について解説してあります。
原因
恥骨結合炎の原因には以下のようなものがあります。
- 感染症
- スポーツ傷害
- 妊娠(出産)
感染症の場合、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌のことが多いです。
またスポーツ障害では、内転筋群・腹筋群への反復負荷が恥骨結合炎を引き起こします。ランニングやジャンプ、スケート、シットアップなどの反復動作が恥骨結合に負荷を与えます。
症状
恥骨結合に鋭い局所痛が現れます。
症状は徐々に悪化していき、最終的には常に痛みを感じるようになります。
検査
触診検査
恥骨結合の触診を行い圧痛の有無を確認します。特に以下の筋肉の付着部位に注意して触診を行うようにしましょう。
- 腹直筋
- 長内転筋
- 短内転筋
- 恥骨筋
- 薄筋
運動検査
以下の運動で動作痛の有無を確認します。
- 股関節内転への抵抗運動
- 股関節の他動的外転
- 股関節の他動的屈曲
鑑別診断
恥骨結合炎と似たような症状には以下の3つがあります。
- 股関節インピンジメント症候群
- 大腿直筋腱炎
- 縫工筋腱炎
股関節インピンジメント症候群
股関節インピンジメント症候群では、大腿骨近位部(大腿骨頭~大腿骨頚)と寛骨臼が衝突(インピンジメント)することにより股関節の可動域制限が起こっています。
痛みは鼡径部に現れます。特に股関節の屈曲や内旋の最終可動域において、鼡径部痛は増悪します。
股関節のロッキングやクレピタス(捻髪音)なども見られます。また、関節唇断裂が併発している場合、股関節の不安定性が現れることがあります。
これらの症状は運動や長時間の歩行などによって増悪し、デスクワークや車の運転などによる長時間の座位によっても悪化することがあります。
大腿直筋腱炎
大腿直筋はAIISに起始を持っています。
大腿直筋腱炎ではAIISのすぐ遠位に局所的な痛みが現れます。
サッカー選手に好発し、ボールを蹴る瞬間に鋭い痛みが現れます。
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縫工筋腱炎
縫工筋の起始はASISにあります。
縫工筋腱炎ではASISのすぐ遠位に鋭い痛みが現れます。
治療
股関節の機能障害を改善させることで、疼痛や可動域制限などの自覚症状を改善させることを目指します。
アジャスメント
恥骨結合炎では恥骨結合の運動障害が伴っていることが多いです。従って、恥骨結合の可動域制限を確認し必要ならばアジャスメントを行います。
軟部組織のリリース
恥骨結合周辺に付着している筋肉のリリースを行います。
- 腹直筋
- 長内転筋
- 短内転筋
- 恥骨筋
- 薄筋
ホームエクササイズ
内転筋のストレッチ
- 肩幅の2倍の足幅で立つ
- サイドランジを行う(サイドランジの反対側の内転筋がストレッチされている)
- この姿勢で10秒から15秒維持する
恥骨筋のストレッチ
- うつ伏せになる
- ストレッチする側の股関節を外旋位のまま屈曲
- この姿勢で10秒から15秒維持する
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