最近、瞑想を始める人が増えていますね。
グーグルやアップルなどでは、社員に対して瞑想を積極的に進めています。
アメリカではマインドフルネスなどと呼ばれています。
ちなみに、巷でよく言われている「マインドフルネス(Mindfulness)」というのは、日本語では「気づき」という意味になります。
マインドフルネスは瞑想の一部を簡易化したもののことです。
本記事では瞑想の実践法について解説してあります。
2種類の瞑想法
瞑想法には2種類あります。
- サマタ瞑想
- ヴィパッサナー瞑想
サマタもヴィパッサナーも初耳という人もいるかもしれません。
共にパーリ語です。
サマタは「集中」、ヴィパッサナーは「気づき」という意味です。
つまり、サマタ瞑想は集中瞑想、ヴィパッサナー瞑想は気づきの瞑想のことになります。
それでは、それぞれについて解説していきます。
サマタ瞑想
先ほど書いたようにサマタ瞑想は集中瞑想のことです。
集中瞑想というのは、集中する対象を一つ決めてそこに心をとどめる瞑想法です。
集中する対象というのは、いろいろなものがありますが、一番オーソドックスなのが呼吸です。
それでは、呼吸のどこに心をとどめるかと言うと、以下の2点のいずれかになります。
- 鼻腔周辺の感覚
- お腹の動き
鼻腔周辺の感覚
息を吸ったり吐いたりすると、鼻腔を空気が出たり入ったりしますね。
その時、鼻腔の粘膜に空気がぶつかる感覚に意識を集中します。
鼻腔から空気が出ていくと、鼻の下に空気が当たりますね。それを観察します。
また、鼻腔から入る空気の温度と出ていく空気の温度の違いなども観察してみます。
他にも気づいたことは全て観察してみます。
その際、判断を入れずに淡々と現象を観察するように努めましょう。
お腹の動き
呼吸に伴ってお腹が膨らんだりへこんだりしますね。
息を吸うとほぼ同時にお腹が膨らんできます。
そして、息を吐くと今度はお腹がへこみます。
そのお腹の動きに意識をとどめます。
息を吸ったときは「ふくらみ」、息を吐いたときは「へこみ」(または「縮み」)という具合です。
サマタ瞑想の効果・効能
サマタ瞑想の効果は、「心の安らぎ」が得られることです。
つまり、サマタ瞑想により心を鎮めることができます。
怒りとか不安などいろいろな感情に振り回されている状態から離れることで、心は徐々に落ち着きを取り戻していきます。
私たちは常に「思考」をしています。つまり、頭の中で何かを考えています。
それらの思考は、おそらく過去または未来のことだと思います。
つまり、過去にあった悲しいこと、辛かったこと、楽しかったこと、いらいらしたこと、などなど。
そして、未来への憂い、不安、心配、期待など。
全て「今ここ」には存在していないもの、つまり、自分の思考によって作りだされたものばかり。
心が過去に起こったことや未来に起こると想像(妄想)していることに張り付いている状態のとき、心はソワソワして落ち着いていません。
いわゆる上の空という状態です。
しかし、瞑想により心を呼吸に留めているとき、過去の思考も未来の思考も生じていません。
そのとき、心は「今ここ」に留まっている状態です。
なぜなら、呼吸は「今ここ」にしか存在しないからです。
「今ここに生きる」という文言を聞いたことのある方もいらっしゃると思いますが、心を呼吸に留めているときがまさに「今ここに生きている」ことになります。
サマタ瞑想では意識的に心を呼吸に留めることで、「今ここ」にのみ心を集中させる訓練をしています。
そうすることで、心は次第に落ち着きを取り戻してきます。
それはまるで泥で濁った水を放置しておくと、泥が沈殿して水が透き通ってくるかのようです。
心が落ち着きを取り戻してきたら、自分の身の周りで起こっている事象を客観視できるようになってきます。
- 心を「今ここ」に留めることにより、心が落ち着き鎮まっていく
- 心が鎮まることにより、物事をより客観視することができるようになる
ヴィパッサナー瞑想
ヴィパッサナーはアルファベットだと”Vipassana”となります。
ヴィパッサナーは「ものごとをあるがままに観る」という意味です。
Wikipediaによくまとめられていたので抜粋してみます。
ヴィパッサナー瞑想は、ナーマとルーパを観察することによって、仏教において真理とされる無常・苦・無我を洞察する瞑想である。アメリカでは仏教色を排した実践もあり、インサイトメディテーションとも呼ばれる。
ちょっと難しい言葉があるので解説します。
ナーマというのは「こころの働き」のこと。そして、ルーパというのは「物質」のことです。
ヴィパッサナーの観察対象はこころの働き(ナーマ)と物質(ルーパ)になります。
ヴィパッサナー瞑想を始めるためには、ある程度心が鎮まり現象を客観視できることが前提条件になります。
従って、大抵の場合、サマタ瞑想である程度集中状態を作れるようになってから、ヴィパッサナー瞑想を修習していくことが多いようです。
しかし、ヴィパッサナー瞑想を始めるに当たって、必ずしもサマタ瞑想を修得しておく必要はありません。
ヴィパッサナー瞑想を最初に始める人もいます。
- 心の働き(ナーマ)
- 物質(ルーパ)
まずはサマタ瞑想から
これらの瞑想法のうち、どちらから始めればよいのかと言うと、まずはサマタ瞑想から始めてみることをお勧めします。
最初は心を呼吸に留めるということが、どのようなことかを体験してみるのが良いでしょう。
先ほど書いたように、サマタ瞑想では呼吸に意識を向けて、そこに心を留めるだけです。
ただし、やってみればわかりますが、これが意外と難しい。
静かなところで目を閉じて、呼吸とともに生じる鼻腔周辺の感覚を追っていると、いつの間にか「昨日の晩ご飯」のこととか、「明日の仕事」のことなどを考えていたりします。
でも、だからと言って、めげる必要はありません。
少なくとも、妄想していることに気づけただけでも大きな進歩です。
今までは、妄想していることさえも気づいていなかったのですから。
もし、妄想にふけっていることに気づいたら、すぐに呼吸に心を戻します。
それを何度も繰り返すのです。
生まれてこの方、ずっと妄想モードだったわけですから、かなり強く心の癖がついてしまっています。
だから、この癖を治すためには、それなりの忍耐が必要になってきます。
最初は1,2分も経つと、呼吸を忘れて「心ここにあらず」の状態になってしまうかもしれません。
それでもOK。
気づいたら、心を呼吸に引き戻してください。
瞑想は毎日継続がカギ
瞑想は毎日続けることが大切です。
このように書くと「仕事が忙しいから毎日は無理」という人が必ずいます。
でも、別に毎日5時間も6時間も瞑想をしてくださいと言っているわけではないのです。
1分でもいいのです。
何なら30秒でもOK。
とにかく、一日に一回は心を呼吸に留める訓練をしてみてください。
1分の瞑想ができないほど、忙しいという人はいませんので、これで言い訳は効かなくなります。
ちなみに、私は毎日二回の瞑想を欠かしていません。
瞑想をするタイミング
タイミングはいつでもいいのですが、おすすめは朝起きてすぐ、もしくは夜寝る前です。
朝起きてすぐのタイミングに瞑想をすると、一発で覚醒します。そして、一日の脳みその働きが格段にアップします。
また、夜寝る前の瞑想は、その日に溜まった心の汚れを掃除するイメージです。
例えるならば、歯磨きに似ています。
歯磨きをするように瞑想ができるようになったらしめたものです。
ぜひ、今日から実行してみましょう。