内反捻挫(足関節)の原因・症状・治療法

原因・メカニズム

内反捻挫は、足関節が急激に内反方向へ捻られることによって発生します。それに伴い、足関節の外側側副靭帯が損傷します。

また、具体的には以下のような状況で捻挫が起こります。

  • 階段を踏み外す
  • でこぼこの路面に着地
  • 運動中(バレーボールやバスケットボールなど)に他人の足の上に着地

外側側副靭帯は足関節内反方向への安定性にとって、とても大切な靭帯ですが、生理的限界を超える伸張負荷が加わることで損傷します。

特に前距腓靭帯は内反捻挫の好発部位です。

  1. 前距腓靭帯
  2. 踵腓靭帯
  3. 後距腓靭帯

症状

足関節外側の鋭い痛みと腫脹が主症状になります。

痛みは外果の前部から下部に現れます。

具体的は症状は以下の通りです。

  • 特に荷重位において足関節外側の痛み増悪
  • 傷害直後は足関節の腫脹や内出血
  • 足関節の可動域制限
  • 足関節の不安定性
  • 足関節からの捻髪音

下の写真は足関節の内反捻挫直後(急性期)のものです。赤色破線で囲まれた部分で腫脹が認められます。

検査

触診検査

触診検査では以下の構造の圧痛を確認します。

  1. 外側側副靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)
  2. 腓骨筋群(長腓骨筋、短腓骨筋、第三腓骨筋)
  3. 上・下腓骨筋支帯

特に前距腓靭帯の起始(距骨側)には鋭い圧痛が触診されることが多いです。

可動域検査

  1. 底屈・背屈
  2. 内反・外反

足関節の内反捻挫では、背屈と外反の可動域制限が現れます。

 

画像検査

MRIやX線などの画像検査は、骨折や外側側副靭帯の断裂の疑いがある場合に行います。

治療法

徒手療法

アジャスメント

足関節の内反捻挫では距腿関節の背屈、距骨下関節の外反の可動域制限が現れる場合が多いです。

従って、これらの関節にフィクセーションがある場合、アジャスメントを行います。

  • 距腿関節(距骨)
  • 距骨下関節(踵骨)

筋膜リリース

基本的に触診検査において圧痛が認められた構造に対して筋膜リリースを行います。以下のような構造を診ると良いでしょう。

  • 前距腓靭帯
  • 踵腓靭帯
  • 後距腓靭帯
  • 長腓骨筋(腱)

エクササイズ

足関節内反捻挫の症状改善にとって、背屈の可動域制限を改善させることは非常に重要です。

従って、足関節背屈方向への反復動作を行い、関節可動域の改善を行います。

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