解剖学(起始・停止・作用・神経支配)
起始;内側上顆(上腕頭)、尺骨近位1/2(尺骨頭)
停止;豆状骨、有鈎骨、第5中手骨底
作用;手関節の屈曲
神経支配;尺骨神経、C8/T1
尺骨神経と尺側手根屈筋
前腕において尺骨神経は尺側手根屈筋の下を走行しています。
尺側手根屈筋腱(遠位)付近において、尺骨神経は手背枝と掌枝に分岐しています。
さらに、ギヨン管(豆状骨と鈎状骨の間)において浅枝と深枝に分岐しています(下図)。
関連症状
肘部管症候群
肘部管は内側上顆の後側にある尺側手根屈筋によってできるトンネル構造です。
肘部管症候群は、肘部管における尺骨神経の絞扼障害のことです。
肘部管において尺骨神経が絞扼されることにより、尺骨神経の知覚支配領域に痺れや感覚鈍麻などの知覚異常が現れます。
尺側手根屈筋には上腕頭と尺骨頭があり、起始においてそれらの筋腹の間に腱膜があります(下図)。
肘部管症候群では、尺側手根屈筋の上腕頭と尺骨頭の間の腱膜において尺骨神経の絞扼が発生しています。
内側上顆炎(ゴルフ肘)
内側上顆炎では、内側上顆に付着している屈筋腱の腱症が起こっています。腱症とは腱の変性のことです。
手関節屈曲の反復動作により、屈筋腱にマイクロトラウマが発生します。それに伴い、腱の線維化(変性)が進行し内側上顆炎に至ります。
内側上顆炎の好発部位は尺側手根屈筋腱と円回内筋腱です。
尺側手根屈筋腱炎
尺側手根屈筋腱炎は、ゴルフやテニスなどにおける反復動作によって引き起こされます。
手首屈曲の反復動作により、尺側手根屈筋腱にマイクロトラウマ(微細外傷)が生じます。腱への断続的な負荷により、組織の変性・線維化が進行し、周辺組織への癒着が広がります。
手首尺側の豆状骨の近位部に局所的な鋭い痛みが現れます。テニスやゴルフなど手首を捻る動作によって痛みは増悪します。
関連動画
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