原因
ギヨン管症候群は、ギヨン管における尺骨神経の絞扼障害です。
ギヨン管周辺の軟部組織の炎症や変性(線維化)により、尺骨神経の絞扼が起こります。
ギヨン管には尺骨神経の他に尺骨動脈も走行しています。
従って、ギヨン管において尺骨動脈が影響を受ける場合もあります(下図)。その場合、尺骨神経の絞扼障害とは異なる症状が現れます(「症状」のセクションで解説)
有鈎骨鈎の骨折
有鈎骨鈎の骨折はゴルファーにしばしば見られる症状です。
有鈎骨鈎の骨折後、ギヨン管周辺の軟部組織の線維化によりギヨン管症候群になるケースがあります。
症状
ギヨン管症候群の主症状は手の痺れや痛み、感覚鈍麻です(下図)。
また、動脈が影響を受けている場合も同様に手の知覚異常が現れます。その場合、手全体に知覚異常が広がる傾向があります。
検査法
触診検査
ギヨン管周辺にある軟部組織の触診を行います。
整形外科的テスト
ギヨン管症候群の整形外科的テストにはティネル兆候があります。
ギヨン管の上でタッピングを行い、手の症状(痺れや痛み)が増悪すれば陽性となります。
治療法
筋膜リリース
ギヨン管周辺にある軟部組織のリリースを行います。具体的には以下のような軟部組織になります。
- 小指球筋
- 尺側手根屈筋腱、
- 掌側手根靭帯
- 豆状骨鈎状骨靭帯
ギヨン管症候群ではこれらの構造の線維化により、周辺組織との癒着が生じています。
ちなみに、小指球筋は以下の筋肉の総称です。
- 小指対立筋
- 小指外転筋
- 短小指屈筋
- 短掌筋
神経リリース
尺骨神経自体が症状に影響を及ぼしていることがあります。その場合、尺骨神経のリリースを行います。
アジャスメント
以下の部位に可動域制限(フィクセーション)が認められる場合、アジャスメントを行います。
- 豆状骨
- 有鈎骨
- 尺骨遠位端
ホームエクササイズ
ギヨン管症候群では小指球筋の過緊張・拘縮が起こっています。従って、小指球筋のストレッチを行うようにします。
小指球筋のストレッチは、以下のような手順で行います。
- 肘を完全伸展位に保つ
- 手首を背屈位にする
- 上記のポジション(最大ストレッチポジション)で30秒程度維持する
尺骨神経の絞扼障害
尺骨神経の絞扼障害は、ギヨン管以外においても発生します。
- 腋窩
- Struthers腱弓
- 内側上腕筋間中隔
- 肘部管
- ギヨン管
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