上腕筋の解剖学と関連症状

上腕には4つの筋肉があります。

  1. 上腕二頭筋
  2. 上腕筋
  3. 烏口腕筋
  4. 上腕三頭筋

上腕三頭筋以外は上腕前面にある筋肉です。

上腕二頭筋の下層の遠位部に上腕筋、近位部に烏口腕筋があります。

上腕筋の解剖学(起始・停止・作用・神経支配)

起始:上腕骨前面(遠位1/2)、内・外側上腕筋間中隔

停止:鉤状突起(尺骨)、尺骨粗面

作用:肘の屈曲

神経支配:筋皮神経、橈骨神経(外側)、C5-C7

 

 

上腕筋の関連症状

骨化性筋炎

骨化性筋炎(こっかせいきんえん)では、骨格筋の中に硬結(血腫が骨化したもの)が生じることで、痛みや可動域制限などの症状が現れます。骨化の好発部位は中間広筋や上腕筋ですが、内転筋群にも現れることがあります。

また、患者は若い年齢層に多く、運動中(特にコンタクトスポーツ)の打撲が原因になることが多いです (Devilbiss Z, 2018, http://bit.ly/2yF2knY)。

骨化性筋炎の場合、受傷後から患部の痛みが徐々に増悪していきます。関節可動域も時間の経過とともに制限されていきます。

下のX線写真の矢印で示してある部分は、上腕筋の骨化性筋炎を示しています。

 

上腕筋の損傷

上腕筋はウエイトトレーニングなどによる反復動作で損傷することがあります。この場合の損傷はマイクロトラウマ(微細外傷)のことであり、筋線維の細かい傷の蓄積です。

特にリバースカール(前腕回内位におけるカール動作)やチンニングなどで上腕筋には大きな負荷がかかります。

また、ロッククライマーは前腕回内位において肘の屈曲・伸展を反復する傾向があるため、上腕筋に問題が起こりやすいです。

筋皮神経の絞扼障害

筋皮神経は烏口腕筋を出た後、上腕二頭筋と上腕筋の間を下行し外側前腕皮神経になります。

外側前腕皮神経は前腕外側の知覚支配領域を持っており、上腕二頭筋と上腕筋の間で絞扼されることで前腕外側に知覚異常が現れます。

また、筋皮神経は烏口腕筋においても絞扼されることがあり、同じように前腕外側に知覚異常が現れます。

また、筋皮神経の支配筋は上腕二頭筋、烏口腕筋、上腕筋です。従って、筋皮神経の絞扼による運動障害では肩と肘の屈曲の筋力低下が起こります。

 

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