亜鉛は炭水化物(糖質)をエネルギーに変換する際の補酵素としての働きがあります。従って、筋トレの効果を最大限に引き出すには必須の栄養素です。
亜鉛は体内で合成できない微量元素なので、外から常に摂取して必要量を満たす必要があります。
本記事では、筋トレをする人にとって亜鉛がいかに大切な栄養素であるかについて解説していきます。
なぜトレーニーにとって亜鉛が大切な栄養素なのか?
もし、あなたの亜鉛の必要量が満たされていないとしたら、亜鉛を加えることで確実にバルクアップが可能です(4人に1人は亜鉛の必要量が満たされていません)。
このセクションでは、筋トレ愛好者は積極的に亜鉛を摂る必要がある根拠について解説していきます。
亜鉛は神経系の機能を改善
亜鉛は神経系の機能に大きく影響します。従って、亜鉛不足は神経系の機能低下を引き起こします。
ところで、筋力は以下の2点で決まります。
- 筋線維の断面積(太さ)
- 神経系の伝達スピード
体重制限のある競技(格闘技系、ウエイトリフティング、パワーリフティングなど)では、筋線維を太くすることなくパワーアップさせる必要があります。
その場合、後者の「神経系の伝達スピード」を速くするトレーニングを行わなければなりません。プライオメトリクストレーニングはその代表例です。
その際にとても重要なのが亜鉛です。先にも書いたように、亜鉛は神経系の機能を向上させる働きがあります。
亜鉛は筋トレによって消耗されやすく、また汗として排泄されやすい栄養素です。積極的に摂取して補っていきましょう。
亜鉛は他の栄養素の吸収率を高める
亜鉛は補酵素としての役割があります。補酵素というのは、読んで字のごとく「酵素を補う」働きをします。
酵素の役割の一つが三大栄養素(タンパク質、糖質、脂質)の分解です。酵素が正常に機能するためには補酵素が必要です。
つまり、補酵素である亜鉛は、三大栄養素の分解にとって、とても大切な栄養素というわけなのです。
従って、亜鉛がなければ酵素の働きが弱くなるので、タンパク質などの栄養素の分解がスムーズにいかなくなります。せっかく、高価なプロテインを飲んでいても、これでは無駄になってしまいます。
当然ながら、筋トレの効果もなくなってしまうどころか、ダメージを受けた筋線維の超回復が起こらないのでパワーアップもできません。
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亜鉛には炎症を鎮める作用がある
筋トレによって筋線維はダメージを受けます。その後に続く、休養と栄養補給により、ダメージを受けた筋線維は修復され次にやってくる刺激(筋トレ)に備えます。これを超回復と言います。
つまり、超回復は筋トレ⇒休養+栄養⇒筋トレ・・・のサイクルがうまくかみ合ったときにのみ起こります。
もし、筋トレ、休養、栄養のサイクルのどれか一つでも崩れた場合、超回復は見込めません。つまり、筋量も筋力も増えていきません。
筋トレ直後の筋線維はダメージを受けているので、軽い炎症反応が起こっています。
もし、亜鉛不足により抗炎症作用が働かなかったら、筋トレからの回復に時間がかかる、もしくは回復せずダメージが残ったままとなるかもしれません。
亜鉛はテストステロンを合成を助ける
亜鉛はテストステロンの合成にとって必須の栄養素です。ご存じのようにテストステロン男性ホルモンの一つです。パワーアップとバルクアップにはとても重要なホルモンの一つです。
従って、亜鉛不足により血中テストステロンレベルが低くなっている場合、筋トレの効果は半減どころかゼロという可能性さえあります。
亜鉛不足以外で血中テストステロン値減少の原因
血中テストステロン値は、加齢とともに自然に減っていきます。他の要因には以下のようなものがあります。
- 遺伝子の問題
- 抗がん剤治療
- 精巣の病気(傷害)
- 慢性炎症
- 肥満
- HIV
- 薬物
テストステロン値低下による症状
以下に示すような症状がある場合、血中テストステロン値が低い可能性があります。
- 極度の疲労感(慢性疲労)
- 筋量・筋力の低下
- 性機能不全(インポテンツ)
- ホットフラッシュ
- 集中力の低下
亜鉛サプリメントの種類
亜鉛のサプリメントは大量に出回っており、どれを選んだら良いのかわからないという人が多いと思います。
中にはとても粗悪な亜鉛サプリメントもあるので、時間とお金を無駄にしないためにもしっかりと選別したいものです。
もっとも流通量が多いのが、グルコン酸亜鉛のサプリメントです。従って、他の亜鉛サプリメントに比べ安価になっています。
もし、どの亜鉛サプリメントを買うか迷っているならば、グルコン酸亜鉛が最初の選択となるでしょう。まずは、グルコン酸亜鉛を摂ってみて実際の体感を確認してみるのが良いと思います。
しかし、値段はやや高いですが、ピコリン酸亜鉛の方が吸収率は高いので、こちらの方がおすすめです。
以下に亜鉛サプリメントの種類をまとめておきます。
グルコン酸亜鉛
先にも書きましたが、市販されている亜鉛サプリメントの定番がグルコン酸亜鉛です。風邪の症状の緩和にも効果があります。
酢酸亜鉛
グルコン酸亜鉛と同様、酢酸亜鉛も風邪薬に含まれている成分の一つです。風邪の諸症状の改善に効果があります (Harri Hemilä, 2017, http://bit.ly/2keF9gM)。
硫酸亜鉛
硫酸亜鉛は特にニキビや吹き出物など皮膚の異常の改善に効果があります (Mrinal Gupta, 2014, http://bit.ly/2keEKLj)。
ピコリン酸亜鉛
リサーチによると、ピコリン酸亜鉛は亜鉛サプリメントの中でもっとも吸収率が高いと言われています (Barrie SA, 1987, http://bit.ly/2lsNVYK)。
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オロチン酸亜鉛
オロチン酸亜鉛は、その名の通り、オロチン酸と結合した亜鉛サプリメントです。特に免疫力の改善に効果的と言われています。オロチン酸亜鉛は、胸腺に働きかけ、白血球(T細胞)の産生を助けます。
クエン酸亜鉛
クエン酸亜鉛は歯磨き粉やマウスウォッシュに含まれています。口の中のバクテリアを排除することで、口臭改善効果があります。
おすすめの亜鉛サプリメント
私自身の経験からお勧めできる亜鉛サプリメントをご紹介します。
グルコン酸亜鉛
Now Foods社製のグルコン酸亜鉛です。亜鉛サプリメントの定番であるグルコン酸亜鉛です。Now Foods社のサプリメントは、どれもクォリティの高いものが多いので安心して摂ることができます。先にも書きたましたが、もし亜鉛サプリメントで迷っているのなら、まずはこれを試してみると良いでしょう。商品リンクはこちら。
ピコリン酸亜鉛
これもNow Foods社の亜鉛サプリメント。ピコリン酸亜鉛です。グルコン酸亜鉛よりも吸収率が良いので、亜鉛サプリメントの中でも一押しのものです。商品リンクはこちらから。
グルコン酸亜鉛(キレート化)
こちらは、キレート化されたグルコン酸亜鉛サプリメントです。グルコン酸亜鉛をキレート化することにより、吸収率が上昇します。こちらもお勧めの亜鉛サプリメントです。商品リンクはこちら。
亜鉛の一日必要量
亜鉛の必要量は年齢や性別、体格、生活習慣によって大きく変わります。以下に示してある必要量は、あくまでも目安です。
個々の必要量は専門家(分子栄養学の専門家が望ましい)にご相談ください。
- 成人男性…10㎎/日
- 成人女性…8㎎/日
- 妊婦…15㎎/日
- 子供(7歳~10歳)…5㎎/日
- 子供(4歳~6歳)…3㎎/日
- 子供(~3歳)…2㎎
食べ合わせ・飲み合わせ
一緒に食べると亜鉛の吸収率が低下(阻害)される食品があります。それでは、せっかく亜鉛サプリメントを摂っても無駄になってしまいます。
以下に示してある食品は亜鉛と一緒に摂らないように注意してください。もしこれらの食品を食べた場合、亜鉛のサプリメントは食べ終えてから2時間以上経過してから摂ればOKです。
- ふすま(Bran)
- 繊維が多く含まれている食品
- リンが多く含まれている食品(牛乳や肉類)
- 全粒粉パン
- シリアル
- 銅
- 鉄
- リン
まとめ
- 亜鉛には神経系の伝達スピードを速め、筋力アップには欠かせない栄養素である
- 亜鉛は他の栄養素の吸収率を高めるので、効率的なバルクアップには必須の栄養素である
- 亜鉛には抗炎症作用があるので、筋トレからの院即なダメージ回復(超回復)には大切な栄養素である
- 亜鉛は体内のテストステロン合成に関わっているので、バルクアップ(筋量アップ)にとって重要な栄養素である
- 亜鉛サプリメントの中では、ピコリン酸亜鉛がもっとも吸収率が高いと言われている。
- 亜鉛は繊維質の多い食べ物と一緒に食べると吸収率が低下してしまう。
- 亜鉛と銅、鉄、リンのサプリメントは一緒に摂らないように注意する。
参考文献
- Mrinal Gupta, Vikram K. Mahajan,* Karaninder S. Mehta, and Pushpinder S. Chauhan: Zinc Therapy in Dermatology: A Review, Dermatol Res Pract. 2014; 2014: 709152, Published online 2014 Jul 10. doi: 10.1155/2014/709152 (http://bit.ly/2keEKLj).
-
Barrie SA, Wright JV, Pizzorno JE, Kutter E, Barron PC: Comparative absorption of zinc picolinate, zinc citrate and zinc gluconate in humans. Agents Actions. 1987 Jun;21(1-2):223-8 (http://bit.ly/2lsNVYK).
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亜鉛(あえん)の元素記号はZnで、金属元素に属します。また、亜鉛は英語でZinkと表記します。Znはその略記号になります(亜鉛の原子量は65.4)。 亜鉛は身体の中で多くの機能を持つ重要な微量元素です。体内酵素の生成に関与したり、炎症[…]