筋トレにソイプロテインを選ぶべき理由【効果・効能・メリット】

筋トレにプロテインは必須のサプリメントです。しかし、巷にはたくさんの種類のプロテインが出回っており、どれを選んだらよいかわからないというトレーニーも多いと思います。

本記事ではソイプロテイン(大豆プロテイン)にスポットを当てて解説していきたいと思います。

筋トレと大豆プロテイン(ソイプロテイン)

一昔前はプロテインと言えば大豆プロテインでした。少なくとも、私がボディビルを始めた1980年台は大豆プロテインしかありませんでした。

しかし、今やホエイプロテインを筆頭にエッグプロテイン、ライスプロテイン、ピープロテインなど、様々な種類のプロテインが出回っています。これらのプロテインに優劣はありません。

私の筋トレ歴33年の内、少なくとも最初の5年は大豆プロテインしか飲んでいませんが、この5年間がもっとも筋力・筋量が増えた時期でもありました。

従って、筋トレと大豆プロテインはとても相性が良いと思います。

ただ、昨今はいろいろなプロテインが出てきてますので、それぞれの特徴を最大限生かし、状況に応じて使い分けることができます。

そうすることにより、筋トレの効果を最大限引き出すことができます。

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NovaFormeのソイ・コンプリートは、ビタミンA、C、Dを含む22種類のビタミンやミネラルが豊富に入っています。100%乳製品不使用、無乳糖、グルテンフリー、人工の香料・染料不使用。ソイ・コンプリートはそのまま飲んでもすごくおいしく、果物や野菜と組み合わせるとおいしいスムージーがいつでもお楽しみいただけます。

ソイプロテインの原料である大豆について

ソイプロテイン

大豆の栄養価

大豆100g中の栄養価は以下の通りです。

  • カロリー: 173㎉
  • 水分: 63%
  • タンパク質: 16.6g
  • 炭水化物: 9.9 g
  • 繊維質:6.0g
  • 脂質: 9 g
    • 飽和脂肪酸: 1.3 g
    • 一価不飽和脂肪酸: 1.98 g
    • 多価不飽和脂肪酸: 5.06 g
    • オメガ-3: 0.6 g
    • オメガ-6: 4.47 g

大豆のタンパク質(ソイプロテイン)

大豆は他の植物と比べ、タンパク質の含有量がずば抜けています。牛肉や豚肉などで100g中およそ20gのタンパク質であるのに対し、大豆は16.6gもあります。

しかし、大豆に含まれているタンパク質のクォリティは、動物性たんぱく質と比べて劣っています(吸収率・利用効率が劣るということ)。

また、大豆のタンパク質には、血中コレステロール(中性脂肪)濃度を下げる作用を持っていることが分かっています (Anderson JW, 1995, http://bit.ly/34980oK; Sirtori CR, 2001, http://bit.ly/30JobqI; Baum JA, 1998, http://bit.ly/2UdM3QM)。

脂質

大豆に含まれている脂質には以下の3種類があります。

  1. 多価不飽和脂肪酸 (Poly unsaturated fatty acid)
  2. 一価不飽和脂肪酸 (Monounsaturated fatty acid)
  3. 飽和脂肪酸 (Saturated fatty acid)

上記の内、その殆どが多価飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸で占められています(飽和脂肪酸はごく少量) (van Ee JH, 2009, http://bit.ly/2L72hID)。

そして、もっとも含有量が多いのがリノール酸で、大豆に含まれている脂質の50%を占めています。

リノール酸
リノール酸は多価不飽和脂肪酸です。体内では合成できない脂肪酸なので必須脂肪酸となります。従って、食べ物から摂取しなければ不足してしまう栄養素です。リノール酸は体内でアラキドン酸に変換されますが、最近の研究によるとアラキドン酸は炎症や動脈硬化の原因になると言われていますので、過剰摂取には気を付けましょう(ある程度の摂取は必要です)。
SMP比
3つの脂肪酸である、飽和脂肪酸 (Saturated fatty acid)、一価不飽和脂肪酸 (Monounsaturated fatty acid)、多価不飽和脂肪酸 (Poly unsaturated fatty acid)の頭文字を取ってSMPとなっています。SMP比は3:4:3が理想的な脂肪酸の比率であると言われています。
慢性炎症については以下の記事を参照ください。
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炭水化物

大豆に含まれている炭水化物のグリセミック指数は低く、血糖値の乱高下は起こりません。従って、糖尿病患者も安心して食べることができます。

グリセミック指数(Glycemic Index、GI)
グリセミック指数とは、炭水化物が血中に溶けだす(吸収される)スピードを数値化したものです。グリセミック指数の最高値は100です(ブドウ糖の吸収スピードを基準にしています)。グリセミック指数が低いということは、急激な血糖値の上昇が起こらないので身体にとって優しいと言えます。一方、高いグリセミック指数は、血糖値の乱高下を招きます。ただし、低血糖症症状などで早急な血糖値の上昇が必要な場合はブドウ糖などの高グリセミック指数の食品を摂るようにします。

繊維質

ファイバー

大豆には水溶性、非水溶性の繊維質が豊富に含まれています。

非水溶性の繊維の主成分は、α-ガラクトシドです。α-ガラクトシドは膨満感や下痢などを引き起こすことがあります (Martínez-Villaluenga C, 2008, http://bit.ly/2ZCSUIC; Winham DM, 2011, http://bit.ly/2LfbBJg)。

また、α-ガラクトシドは過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome, IBS)の原因になることもあります (Ong DK, 2010, http://bit.ly/2PqRGwe)。

このように、一部の人にとっては大豆の繊維は不快な症状を引き起こしますが、基本的には健康にとって大切な栄養素の一つです。

ビタミン・ミネラル類

大豆には様々なビタミン・ミネラル類が含まれています。以下に主なものを列記し、それぞれの効能について簡潔にまとめておきました。

モリブデン

大豆にはモリブデンが多く含まれています。モリブデンは、種子類、穀物、豆類に多く含まれている栄養素です。

体内では肝臓と腎臓に貯留されており、様々な酵素の構成成分となっています。

モリブデンはキサンチンオキシダーゼ(酸化酵素)の構成成分ですが、この酵素はプリン体を尿酸に分解する働きがあります(痛風の改善・予防にとって大切な作用)。

また、鉄分の利用効率を高めるので、貧血の予防にも大切な栄養素です。

ビタミンK1

ビタミンK1は血栓を防ぎ、血液の流れをサラサラにしてくれます。脳梗塞や心筋梗塞の予防にとって、とても大切な機能を持っています。納豆に多く含まれています。

葉酸

葉酸はビタミンB9のことです。葉酸は正常な細胞分裂にとって重要な働きを持っており、妊娠中の方にはとても大切な栄養素となります(葉酸の不足は胎児の正常な細胞分裂が阻害され奇形などを引き起こします)。

血液にはヘモグロビンがあります。ヘモグロビンを酸素を運搬する役割を持っています。その構成成分の一つが鉄(Hemo-)です。

銅は鉄と協同してヘモグロビンを作ります。つまり、銅が不足している場合、ヘモグロビンが作られないので、貧血になります(銅欠乏性貧血)。

マグネシウム

大豆にはマグネシウムが大量に含まれています。

マグネシウムの効能は以下の通りです。

  • マグネシウムには血圧を下げる効果がある
  • マグネシウムには精神安定作用がある
  • マグネシウムには血糖値を安定化させる作用がある
  • マグネシウムには心臓病の予防効果がある
  • マグネシウムには片頭痛改善効果がある

しかし、大豆にはフィチン酸という物質も多く含まれています。フィチン酸は豆類に多く含まれる成分ですが、マグネシウムと結合する傾向があります (Davidsson L, 1995,  http://bit.ly/30LDYoL)。

そのため、マグネシウムの吸収を妨げてしまうので、大豆を摂ることでマグネシウムを補うことは期待できません。

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リン

リンはカルシウムと同様に歯や骨の構成成分の一つとなっています。つまり、リン不足は骨密度の低下(骨粗鬆症)を招きます。

また、リンは脂肪酸と結合するとリン脂質になります。リン脂質は細胞膜の重要な構成成分です。

細胞膜の構造(リン脂質)

チアミン(サイアミン)

チアミンはビタミンB1のことです。脚気はチアミン不足によって起こる症状です。また、神経系の機能にも重要な栄養素であるため、チアミン不足は神経痛の原因にもなります。

ソイプロテインのアミノ酸組成

大豆に含まれているタンパク質の主成分は、グリシンとβ-コングリシニンです。これら2つのタンパク質で大豆全体のタンパク質の80%を構成しています。

グリシン

グリシンは非必須アミノ酸の一つです(体内で合成されている)。主な効能は以下の8つです。

  1. 強力な抗酸化作用を持つグルタチオン生成に必要な栄養素
  2. クレアチンの構成成分の一つ
  3. コラーゲンを構成する主要なアミノ酸
  4. 睡眠の質の向上
  5. アルコールによる肝臓のダメージを予防
  6. 心疾患の予防
  7. タイプⅡ糖尿病の改善
  8. 筋肉の減少を予防

β-コングリシニン

β-コングリシニンは、大豆たんぱく質の20%を占めています。脂質の代謝をコントロールしており、中性脂肪の下げる効果があります(小腸での中性脂肪の吸収を抑制する)。

また、糖代謝にも深く関わっており、血糖値の安定化にとっても重要な栄養素です。

ソイプロテインの特徴

ソイプロテイン

ソイプロテインの特徴は、吸収スピードです。飲んでから消化・吸収されるまで時間がかかります。つまり、タンパク質分解酵素によってアミノ酸に分解された後、じわじわと血中に溶け出します。

このような、タイプのプロテインをタイムドリリース(Timed release)型プロテインと言います。

一方、ホエイプロテインはまったく逆のタイプです。摂取してから消化・吸収までとても短く、トレーニング直後など早急なタンパク質補給が必要とされる場面にもってこいのプロテインです。

それでは、タイムドリリース型プロテインであるソイプロテインは、どんな場面で活用できると思いますか?

それは、ずばり「寝る前」です。

筋トレで破壊された筋肉線維が修復されるのは、睡眠中などの休息しているときです。睡眠中は頻繁にタンパク質を補給できません。

しかし、寝る前にソイプロテインを摂っておけば、睡眠中に少しずつアミノ酸が溶け出しますので、常に筋肉線維に補給されます(まるで、点滴を打っているかのように)。

寝る前のソイプロテインで就寝中に筋肉を修復

まとめ

  1. ソイプロテインには血中コレステロール濃度を下げる効果がある
  2. ソイプロテインには睡眠の質を向上させる効果がある
  3. ソイプロテインは動物性タンパク質と比べると吸収率が劣る
  4. ソイプロテインはタイムドリリース型プロテインなので就寝前の摂取が効果的

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参考文献

  1. Anderson JWJohnstone BMCook-Newell ME.: Meta-analysis of the effects of soy protein intake on serum lipids. 1995 Aug 3;333(5):276-82 (http://bit.ly/34980oK).
  2. Sirtori CRLovati MR: Soy proteins and cardiovascular disease. 2001 Jan;3(1):47-53 (http://bit.ly/30JobqI).
  3. Baum JA1Teng HErdman JW Jr, etc: Long-term intake of soy protein improves blood lipid profiles and increases mononuclear cell low-density-lipoprotein receptor messenger RNA in hypercholesterolemic, postmenopausal women. 1998 Sep;68(3):545-51 (http://bit.ly/2UdM3QM).
  4. van Ee JHSoy constituents: modes of action in low-density lipoprotein management. 2009 Apr;67(4):222-34. doi: 10.1111/j.1753-4887.2009.00192.x (http://bit.ly/2L72hID).
  5. Martínez-Villaluenga C1Frias JVidal-Valverde CAlpha-galactosides: antinutritional factors or functional ingredients? 2008 Apr;48(4):301-16. doi: 10.1080/10408390701326243 (http://bit.ly/2ZCSUIC).
  6. Winham DMHutchins AMPerceptions of flatulence from bean consumption among adults in 3 feeding studies. 2011 Nov 21;10:128. doi: 10.1186/1475-2891-10-128 (http://bit.ly/2LfbBJg).
  7. Ong DKMitchell SBBarrett JS, etc: Manipulation of dietary short chain carbohydrates alters the pattern of gas production and genesis of symptoms in irritable bowel syndrome. 2010 Aug;25(8):1366-73. doi: 10.1111/j.1440-1746.2010.06370.x (http://bit.ly/2PqRGwe).
  8. Davidsson LAlmgren AJuillerat MAHurrell RF: Manganese absorption in humans: the effect of phytic acid and ascorbic acid in soy formula. 1995 Nov;62(5):984-7 (http://bit.ly/30LDYoL).

     

    ボディビル歴33年。国内外のボディビル大会で優勝・入賞経験多数。自らの肉体を実験台にして、ウエイトトレーニングや食事(サプリメント)を実践。医学博士号(スポーツ医学)所持。プロフィール詳細。

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