プロテインの副作用

プロテインの副作用【高タンパク質食の腎臓・肝臓へのダメージ?】

「ホエイプロテインの摂り過ぎによる副作用が心配」という声があります。
特に多いのが、プロテイン摂取と腎臓や肝臓への影響です。

また、プロテインの摂り過ぎは骨粗しょう症のリスクを高めるという噂も聞いたことがあります。

本記事では、プロテインを飲むことで起こり得る副作用のリスク(デメリット)について、エビデンス付きで解説していきます。

筋トレ愛好家なら毎日プロテインを飲んでいると思います。
これから、何年もの間、安心してプロテインを飲むためには、その副作用(リスク)についても把握しておく必要があります。

健康的な生活のために飲み始めたプロテインによって、逆に健康を害してしまうことのないようにしたいものです。

ホエイプロテインを飲むと、下痢や便秘になってしまうという人がいます。
便秘や下痢以外にも、お腹の張り(膨満感)やガス、胃痛などの副作用があります。
これらの副作用の原因の一つが乳糖不耐症です。
乳糖はホエイプロテインに含まれている糖質です。
乳糖不耐症は決して珍しい症状ではなく、むしろほとんどの人(75%)が多かれ少なかれ持ち合わせています (Scrimshaw NS, 1988, http://bit.ly/2loLaI2)。
乳糖不耐症の人の場合、乳糖を分解するのに必要な酵素(ラクターゼ)が十分に生成されていません。
その場合の対応法には3つあります。
  1. ホエイプロテイン以外のプロテインに変える
  2. 乳糖を分解する酵素ラクターゼを合わせて摂るようにする
  3. ホエイプロテインアイソレートを飲むようにする

ホエイプロテイン以外のプロテインに変える

これが一番手っ取り早い方法かもしれません。
今や、ホエイプロテイン以外にもたくさんの種類のプロテインパウダーが出回っています。

敢えて、ホエイプロテインに固執する必要はないと思います。
おすすめは植物系タンパク質由来のプロテインパウダーです。

ピープロテインなどは、副作用が少なくおすすめです。

関連記事;ピープロテインの効果・効能・メリット・副作用

Jarrow Formulas, オーガニックピープロテイン(商品リンク)
ジャローフォーミュラ オーガニッピープロテインは、滑らかな食感とマイルドな風味があります。必須アミノ酸を全て含む完全なアミノ酸組成を含んでいます。

乳糖を分解する酵素ラクターゼを合わせて摂るようにする

どうしてもホエイプロテインを飲みたいという場合、ラクターゼを合わせて摂るのが良いでしょう。

ホエイプロテインを飲む前にラクターゼを摂っておくと、乳糖をしっかり分解してくれます。

もちろん、この場合でも下痢や便秘がおさまらないという人もいるかもしれません。
その場合はホエイプロテインアイソレートを試してみてください。

Now Foods, 乳製品消化コンプリート、植物性カプセル90個(商品リンク)
NOW 乳製品消化コンプリートは、乳製品の消化を促すように配合された酵素の包括的なブレンドです。乳製品に対する不耐性の多くは、ラクトースとして知られる乳糖を消化できないことが原因です。しかし、不耐症は乳製品に固有の消化困難なタンパク質や脂肪に関連していることもよくあるのです。NOW 乳製品消化コンプリートは、ラクトースを消化するラクターゼと乳タンパク質と脂肪を特に標的とするプロテアーゼとリパーゼを組み合わせて消化を促します。

ホエイプロテインアイソレートを飲むようにする

ホエイプロテインアイソレートに含まれる乳糖の量は、ホエイプロテインに比べると圧倒的に少量になっています (Jay R. Hoffman, 2004, http://bit.ly/2n5L8Fq)。

 

ホエイプロテインアイソレートNow Foods, ホエイプロテインアイソレート、544 g(商品リンク)
NOWのホエイプロテインアイソレートは、体内に吸収されやすく消化の早い高品質タンパク質です。ホエイプロテインには分岐鎖アミノ酸(BCAA)が多く含まれています。ホエイプロテインは、タンパク質源の中でも生物価(BV)が高く、牛肉、乳製品、カゼイン、大豆よりも必須アミノ酸が豊富に含まれています。

ホエイプロテインは便秘や下痢の原因になる

乳糖不耐症が便秘や下痢の原因になることは、十分考えられます (Rejane Mattar2012, http://bit.ly/2lYdlhw)
しかし、それだけが原因ではないこともあります。

それは、単純に腸内環境の問題だったりします。
もともと悪い腸内環境のところに、大量のホエイプロテインを飲むことで状態をさらに悪化させてしまっている場合があります。

従って、ホエイプロテインを飲むと下痢や便秘になってしまうという場合、腸内環境を整えてみる必要があります。

腸内環境を整える方法はいろいろありますが、まずは栄養面で工夫してみると良いでしょう。
以下の3つの栄養素が腸内環境を整えるためには大切です。

  1. 消化酵素(三大栄養素を分解するのに必要な酵素)
  2. プロバイオティクス(乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌など)
  3. プレバイオティックス(オリゴ糖、食物繊維など)

これらは全てサプリメントとして摂ることができます。
もちろん、自然食品からも摂ることができます。

最近、私が愛用している消化酵素サプリメントがこちらです。

プレバイオティクス+プロバイオティクスを含む消化酵素、180錠(商品リンク)
Zenwiseヘルス消化酵素には、植物由来の酵素、プレバイオティクスとプロバイオティクスの特殊なブレンドが含まれており、男性と女性の消化器の健康を日常的に促します。体が脂肪、たんぱく質、炭水化物、セルロースを消化できるようにするこの高度な配合は、健康な消化、免疫機能、バランスの取れたエネルギーレベルをサポートすることが示されています。
消化酵素だけでなく、プロバイオティクスとプレバイオティックスも配合されています。
今まで、数十種類の消化酵素サプリメントを試してきましたが、こちらが一押しです。

関連記事;プロテインを飲んで下痢(または便秘)してしまう場合の原因と対策

ホエイプロテインは腎臓にダメージを与える?

しかし、このことは、必ずしも高タンパク食が腎臓にダメージを与えるということではありません。
なぜなら、高たんぱく食によるこのような腎臓の反応は正常なものであって、何ら心配に値しないものだからです (Conrad KP, 2004, http://bit.ly/2m7BjH1)。

また、過剰なプロテインパウダーの摂取が、腎臓機能にダメージを与えるというエビデンスはゼロです (William FM, 2005, http://bit.ly/2nGRPOR)。

しかし、腎臓に障害を持っている場合は別です。
なぜなら、腎臓障害を持つ人が高タンパク質食を食べると、腎臓にさらなるダメージを与える可能性があるからです (Knight EL, 2003, http://bit.ly/2ltLkxU)。

11人の肥満女性を被験者にホエイプロテインを毎日60g飲んでもらったところ、4週間で肝臓の脂質がおよそ21%減少したという報告があります (Bortolotti M, 2011, http://bit.ly/2nF88vs)。
脂質だけでなく、中性脂肪は15%、コレステロールは7%も減少していました。

しかし、肝炎など慢性的な肝機能障害がある場合、過剰なタンパク質は禁物です。

肝臓はアンモニアを解毒する働きがありますが、タンパク質を摂るとアンモニアが大量に生成されます。
従って、肝炎患者がタンパク質を摂り過ぎると、肝機能が落ちているためにアンモニアを処理(代謝)できず、脳神経細胞にダメージを与えます(肝性脳症)。

従って、肝機能障害がある場合、タンパク質の摂取は極力控える必要があります。
その代替としてアミノ酸摂取は大丈夫です。

ホエイプロテインは骨粗しょう症の原因になる?

過剰なタンパク質摂取は、骨粗しょう症のリスクを高める可能性があります。
しかし、それに対して真逆の説もあり、現段階ではどちらとも言えない状況です。
骨粗しょう症リスクを提唱している人の理屈は、「タンパク質を大量に摂ることでカルシウムが骨から溶出する可能性がある」ことを根拠にしています (Barzel US, 1998, http://bit.ly/2nFnboW)

しかし、最近のリサーチによると、骨からカルシウムが溶出したとしても、身体にはそれを補う機能がその割っていると主張しています (Kerstetter JE, 2003, http://bit.ly/2nFpmsC)。
つまり、高タンパク質食であっても、骨密度の低下(骨粗しょう症)は起こらないということ。

このように、高タンパク質食と骨粗しょう症の関係については、全く異なる見解のエビデンスが混在している状況です。

まとめ

ほとんどの人にとって、ホエイプロテインは安全なサプリメントであり、副作用なしで飲むことができます。
しかし、下痢や便秘などの胃腸障害を引き起こすことがあります。

その場合、他のプロテインに変えてみたり、消化酵素などを活用してみるのが良いでしょう。
また、ホエイプロテインアイソレートもおすすめです。

 

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参考文献

  1. Scrimshaw NSMurray EB: The acceptability of milk and milk products in populations with a high prevalence of lactose intolerance. 1988 Oct;48(4 Suppl):1079-159. doi: 10.1093/ajcn/48.4.1142 (http://bit.ly/2loLaI2).
  2. Jay R. Hoffman, Michael J. Falvo: Protein – Which is Best? . 2004 Sep; 3(3): 118–130 (http://bit.ly/2n5L8Fq).
  3. Rejane MattarDaniel Ferraz de Campos Mazo, and Flair José Carrilho: Lactose intolerance: diagnosis, genetic, and clinical factors. . 2012; 5: 113–121 (http://bit.ly/2lYdlhw).
  4. Stephen PJ, Lawrence JA, Cheryl AM, Edgar RM: Effect of a High-Protein Diet on Kidney Function in Healthy Adults: Results From the OmniHeart Trial. Am J Kidney Dis. 2013 Apr; 61(4): 547–554 (http://bit.ly/2m7luju).
  5. Conrad KP: Mechanisms of renal vasodilation and hyperfiltration during pregnancy. 2004 Oct;11(7):438-48 (http://bit.ly/2m7BjH1).
  6. William FM, Lawrence EA, Nancy RR: Dietary protein intake and renal function. . 2005; 2: 25 (http://bit.ly/2nGRPOR).
  7. Knight ELStampfer MJHankinson SESpiegelman DCurhan GC: The impact of protein intake on renal function decline in women with normal renal function or mild renal insufficiency. 2003 Mar 18;138(6):460-7 (http://bit.ly/2ltLkxU).
  8. Anssi HM: High-Protein Weight Loss Diets and Purported Adverse Effects: Where is the Evidence? . 2004; 1(1): 45–51 (http://bit.ly/2nEXBjU).
  9. Anssi H Manninen: High-Protein Weight Loss Diets and Purported Adverse Effects: Where is the Evidence? . 2004; 1(1): 45–51 (http://bit.ly/2nEXBjU).
  10. Bortolotti MMaiolo ECorazza MVan Dijke ESchneiter PBoss ACarrel GGiusti VLê KAQuo Chong DGBuehler TKreis RBoesch CTappy L: Effects of a whey protein supplementation on intrahepatocellular lipids in obese female patients. 2011 Aug;30(4):494-8. doi: 10.1016/j.clnu.2011.01.006. Epub 2011 (http://bit.ly/2nF88vs).
  11. Barzel USMassey LK: Excess dietary protein can adversely affect bone. 1998 Jun;128(6):1051-3 (http://bit.ly/2nFnboW).
  12. Kerstetter JEO’Brien KOInsogna KL: Dietary protein, calcium metabolism, and skeletal homeostasis revisited. 2003 Sep;78(3 Suppl):584S-592S. doi: 10.1093/ajcn/78.3.584S (http://bit.ly/2nFpmsC).

 

ボディビル歴33年。国内外のボディビル大会で優勝・入賞経験多数。自らの肉体を実験台にして、ウエイトトレーニングや食事(サプリメント)を実践。医学博士号(スポーツ医学)所持。プロフィール詳細。

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