筋トレ後の疲労回復

筋トレ後の疲労回復に効果的なサプリメント

筋トレからの疲労回復(超回復)がなければ、現状維持どころか筋肉が摩耗しパワーダウンする可能性すらあります。

まだ10代、20代の筋トレ愛好家は、それほど気にする必要がないかもしれませんが、30代、40代、50代以上の中年の筋トレ愛好家にとって「筋トレからの疲労回復」はとても大切なポイントです。

なぜなら、疲労回復(超回復)がなければ、筋肥大も筋力増強も起こらないからです。
それどころか、疲労の蓄積により怪我のリスクさえ高まっていきます。

筋トレからの疲労回復にとって、もっとも大切なのが「規則正しい生活習慣」です。私が常々提唱している生活習慣とは以下の3つの習慣のことを指しています。

  1. 運動習慣
  2. 食習慣
  3. 睡眠習慣

本記事では特に食習慣、サプリメントを活用した疲労回復のポイントについて解説していきます。

私の個人的な経験から疲労回復に効果的だった7つのサプリメントは以下の通りです。

  1. トリプトファン
  2. ZMA
  3. マグネシウム
  4. ビタミンB複合体
  5. 鉄分
  6. ビタミンA、C、E
  7. BCAA

それでは、それぞれ解説していきましょう。

トリプトファン(TRYPTOPHAN)

トリプトファンは八つある必須アミノ酸の一つです。このアミノ酸は、心を落ち着かせ、疲労回復を促し、睡眠の質を上げることで知られています。

トリプトファンはメラトニン、ビタミンB3(ナイアシン)、セロトニンの前駆体です。これらの物質は全て心身の疲労回復にとって必須の栄養素です。

セロトニン

セロトニンは脳内神経伝達物質です。「幸福ホルモン」とも呼ばれています。セロトニンの生成にはトリプトファンが必要です。

セロトニンレベルの低下は、精神の不安定化、軽度のうつ症状などの原因にもなります。
また、甘いものを食べ過ぎてしまう傾向があります。

なぜなら、糖質の大量摂取によりセロトニンの分泌が促されるからです。

しかし、糖質の過剰摂取の繰り返しは身体にとっては良くありません。精神的ストレスがかかると甘いものを食べたくなるという人がいますが、それは甘いものを食べることでセロトニン分泌を促そうとしているのです(本人は知ってか知らずか・・・)。

従って、もしハードに筋トレをしているのなら、トリプトファンを多目に摂ることをお勧めします。
トリプトファンを摂ることによりセロトニンの生成・分泌を促し疲労回復を狙うのです。

必須アミノ酸
必須アミノ酸とは、体内で合成することができないため、食べ物から摂取しなければならないアミノ酸のことです。全部で以下の8種類のアミノ酸が必須アミノ酸に分類されています。

  • トリプトファン
  • リシン
  • メチオニン
  • フェニルアラニン
  • スレオニン
  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン

ZMA (亜鉛、マグネシウム、ビタミンB6)

ZMAとはZinc(亜鉛)、Magnesiumu(マグネシウム)、VitaminB6(ビタミンB6)のことを指します。
ZMAは睡眠の質を上げる働きがあるサプリメントです。

亜鉛はテストステロンの生成・分泌を促し、マグネシウムは睡眠の質を上げる働きがあります。
そして、ビタミンB6は亜鉛とマグネシウムの吸収を促進する作用があります。

質の良い睡眠は、成長ホルモンの分泌にとって、とても大切なことです。

従って、ZMAを摂ることで、男性ホルモンであるテストステロン、筋トレによって破壊された筋線維の修復のための成長ホルモンの分泌量を増やすことができます。
もちろん、それにより超回復が促進されます。

マグネシウム

マグネシウムには、質の良い睡眠と疲労からの回復を促す働きがあります。
しかし、マグネシウムのサプリメントには、様々な種類(タイプ)があり、それぞれのタイプにおいて働きがやや異なります。

もし、睡眠の質を上げ、疲労からの回復を目的とするなら、グリシン酸マグネシウムをおすすめします。
グリシン酸マグネシウムは、グリシン(アミノ酸の一種)とマグネシウム結合した形になっています。

それにより、マグネシウムの吸収率(利用効率)が格段に上がります。

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グリシン酸マグネシウムNow Foods, Magnesium Bisglycinate Powder, 250mg(商品リンク)
グリシン酸マグネシウムは、マグネシウムをグリシンに結合させることで、腸による吸収​​を促進します。マグネシウムは300種類以上の酵素の代謝に関わっている栄養素であり、エネルギーの産出お​​よび代謝、筋肉収縮、神経系の伝達などの働きがあります。また、マグネシウムは、脂肪酸合成、タンパク質合成、およびグルコース代謝に必要です。

ビタミンB複合体

ビタミンBは、心身のストレスや疲労からの回復にとって、大切な栄養素です。
また、ビタミンBには様々な種類があります。

それぞれにおいてその効用がありますが、通常はビタミンB複合体として摂ることをお勧めします(何か特別な効用を目的とする場合は例外)。

以下にそれぞれのビタミンBの効用を簡潔にまとめておきます。

  • ビタミンB1(サイアミン);精神的ストレスの改善
  • ビタミンB2(リボフラビン);酸化ストレスの改善(つまり疲労の回復)
  • ビタミンB3(ナイアシン);脳機能の改善
  • ビタミンB5(パントテン酸);副腎の機能改善、コルチゾール(ストレスホルモン)の合成
  • ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩);疲労回復、免疫機能の強化
  • ビタミンB8(イノシトール);神経伝達機能の改善
  • ビタミンB12(葉酸);造血作用、神経系機能の維持

鉄分

鉄分は特に女性アスリートが不足しがちな栄養素です。
しかし、成長期の男子中高生でも不足しているケースが多く見受けられます。

ストレスや減量、ハードトレーニングなどにより、鉄分の消耗は増えるので、年齢や性別に関係なく補う必要があります。

鉄分のサプリメントにもたくさんのものがありますが、おすすめはグリシン酸鉄です。
グリシン酸鉄は、他の鉄分サプリメントよりも吸収力が優れています。

鉄分を摂取することにより、疲労からの回復が促されます。
特に菜食主義の女性は不足しているケースが非常に多く、必須のサプリメントです。

グリシン酸鉄Thorne Research, ビスグリシン酸鉄, 60カプセル(商品リンク)
鉄分の不足は、脱力感、疲労、息切れ、目まい、耳鳴り、眠気、神経過敏などの症状の原因になります。アスリートは、通常の約1.5倍の鉄分を必要です(消耗量が多いため)。ベジタリアンは、1.8倍の鉄分を必要とします。怪我や筋肉の損傷は、体内の鉄分量をさらに減少させます。鉄分の不足により、身体が正常に酸素を取り込むのを減少させてしまいます。細胞に取り込まれる酸素の減少は、作業能力や有酸素能力の低下に繋がります。従って、鉄分不足は、鉄欠乏性貧血に陥るリスクを高めます。

ビタミンA、C、E

ハードにトレーニングをした後など疲労状態にあるとき、身体には活性酸素が蓄積しています。
ビタミンA、C、Eには活性酸素を除去する働きがあり、疲労回復にはとても大切な栄養素になります。

また、筋トレにより筋線維は破壊されるので炎症が起こりますが、これらのビタミンには抗炎症作用もあります。
つまり、筋トレ後のダメージからの迅速な回復を促してくれます。

抗炎症作用を極限まで高めるためには、ビタミンA、C、Eにアルギニンを併用すると良いでしょう。
アルギニンにより一酸化窒素が作られますが、一酸化窒素は血管拡張作用があります。

血管が拡張した状態のときに、ビタミンA、C、Eを入れると瞬時に炎症が消えていきます。
それにより、筋線維のダメージが修復され超回復が起こります。

BCAA

BCAAは”Branched Chain Amino Acid”の略です。
日本語だと分岐鎖アミノ酸になります。

BCAAは筋トレ後の筋肉痛を和らげる働きがあると言われていますが、筋トレ後の疲労回復にも効果的であることがわかっています。

BCAAの摂取により、特に中枢性疲労の改善が促されると言われています。

BCAAが中枢性疲労の回復を促すメカニズム

トレーニング中は、大量のBCAAが消耗されます。
そのため、血中BCAA濃度は低下します。

中枢性疲労は、必須アミノ酸であるトリプトファンがカギを握っています。
トリプトファンが脳血液関門を通過し脳内に侵入すると、セロトニン(脳内神経伝達物質)に変換されます。

セロトニンは中枢性疲労の元凶とされています (Meeusen R, 2006, http://bit.ly/2lCxrxD)。
つまり、脳内のセロトニンレベルが上がると中枢性疲労が悪化します。

話をBCAAに戻しましょう。
BCAAも脳血液関門を通過することができます。

つまり、BCAAとトリプトファンは競合関係にあります。
BCAAの血中濃度が高い場合、脳血液関門においてトリプトファンと競合するので、脳内に侵入できるトリプトファンの絶対量が減少します (Shimomura Y, 2004, http://bit.ly/2lRzY6W)。

脳内のトリプトファン濃度が減少するということは、変換されるセロトニン量も減りますので、中枢性疲労が起こりにくくなるというわけです。

BCAA(分岐鎖アミノ酸)
バリン
ロイシン
イソロイシン
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まとめ

筋トレ後の疲労回復(超回復)は、筋トレ効果を高めるためには必須です。
疲労の回復が正常に行われていないと、筋肉を大きくすることができないばかりか、怪我のリスクを高めることになります。

疲労は蓄積するものです。
最初は自覚症状がないので気づかないかもしれません。

しかし、知らないうちに疲労が蓄積しオーバーワークに陥ってしまうことがあります。
そうならないためには、栄養管理がとても大切です。

  • ZMA(亜鉛、マグネシウム、ビタミンB6)
  • グリシン酸マグネシウム
  • ビタミンB複合体
  • ビタミンA、C、E
  • BCAA

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参考文献

  1. Shimomura Y, Murakami T, Nakai N, Nagasaki M, Harris RA: Exercise promotes BCAA catabolism: effects of BCAA supplementation on skeletal muscle during exercise. 2004 Jun;134(6 Suppl):1583S-1587S. doi: 10.1093/jn/134.6.1583S (http://bit.ly/2lRzY6W).
  2. Meeusen RWatson PHasegawa HRoelands BPiacentini MFCentral fatigue: the serotonin hypothesis and beyond. Sports Med. 2006;36(10):881-909 (http://bit.ly/2lCxrxD).
ボディビル歴33年。国内外のボディビル大会で優勝・入賞経験多数。自らの肉体を実験台にして、ウエイトトレーニングや食事(サプリメント)を実践。医学博士号(スポーツ医学)所持。プロフィール詳細。

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