筋トレをやっていれば、誰もが一度は怪我に見舞われたことがあると思います。
私自身も筋肉の部分断裂やぎっくり腰、肩の怪我などいろいろな怪我に見舞われてきました。
幸いなことに、その全てが筋肉や腱、靱帯などの軟部組織であり、半月板や軟骨などの損傷は未だ経験したことがありません(半月板や軟骨の損傷はトレーニーとっては致命傷になることが多い)。
怪我をした場合、回復に必要とされるタンパク質やビタミン・ミネラルなどの微量元素の量は増えます。
しかし、やみくもに食べればよいというわけではありません。怪我からの回復にとって、特に必要な栄養素があるので、そのことを理解しておくことが大切です。
怪我からの回復において、最初に大切なことは、「炎症を和らげること」です。栄養素の中には抗炎症作用を持つものがあります。もちろん、本記事でそのことについては解説してあります。
また、ダメージを受けた組織(筋肉や腱、靱帯)を修復するための材料も必要となります。その材料とは、ご存知の通りタンパク質です。
つまり、怪我からの回復におけるポイントは以下の2点です。
- 炎症を抑えるための栄養素を摂取すること
- 損傷した組織の修復に必要な材料であるタンパク質を十分に摂ること
それでは、詳細について解説していきます。
まずは炎症反応を抑えることが大切
筋肉や腱、靱帯(これらを軟部組織と言います)などを痛めたとき、最初に起こる反応が炎症です。
炎症反応は、痛めた軟部組織が治癒するための最初のプロセス。従って、怪我からの回復にとっては必要な反応です。
しかし、炎症反応が過剰になったり、長期化(慢性化)したりした場合に問題が起こります。
なぜなら、損傷の程度がより深刻化するからです。
このような事態は、大抵の場合、トレーニーの怪我に対する認識の甘さが原因となります。
「少しくらいなら大丈夫だろう」とか「あと少しだけだからやってしまおう」などという考えが、怪我を深刻化させることになります。
マイクロトラウマが筋肉を老化させる
マイクロトラウマは英語で”Micro-trauma”と書きます。日本語だと「微細外傷」となります。
マイクロトラウマというのは、同じ動作を何度も反復することにより、少しずつ蓄積していく組織(筋肉、腱、靱帯など)の損傷です。
1回1回の損傷は微細(マイクロ)なので、違和感程度で痛みまで至らないことも多いです。しかし、ある限界点を超えると痛みとして自覚されてきます。
この状態になると症状は完全に慢性化しています。
さらに、この時、損傷が慢性化した筋肉(または腱、靱帯)は老化が進行しているとも言えます。
このような老化を専門用語では「変性」と呼びますが、老化の方がイメージしやすいのでこちらの言葉を使いました。
老化した筋肉は圧倒的にパフォーマンスが低下
筋肉は80%弱が水分で構成されています。
マイクロトラウマが進行した筋肉の水分量は減少しています。つまり、筋肉の伸縮性がなくなり硬くなっています。
当然ですが、老化した筋肉はパフォーマンスが低下します。つまり、瞬発力も持久力も失われていきます。
さらに、まずいことに怪我のリスクが高くなります。
このような状態に至らないためにも、炎症は早急に改善させる必要があります。
炎症を抑える食べ物を選んで食べる
果物や野菜などに含まれているフィトケミカルには、抗炎症作用があります。
また、魚の油(フィッシュオイル)に含まれているオメガ3も強力な抗炎症作用を持っています。
炎症を抑える微量元素(ビタミン、ミネラル類)を摂る
抗炎症作用の働きを持つ栄養素
- ビタミンA
- ビタミンC
- ビタミンE
- 亜鉛
- オメガ3
抗炎症作用のあるおすすめサプリメント
Now Foods, ビタミン A、25,000 IU、ソフトジェル 250粒
ビタミンAは、目、皮膚、呼吸器、胃腸管および尿路を含む身体の内面および外面に並ぶ組織の維持に不可欠です。
Now Foods, C-1000、250粒(商品リンク)
ビタミンCは、免疫系における重要な役割でよく知られている水溶性栄養素です。また、ビタミンC はコラーゲン(結合組織の構造たんぱく質)の生成にも必要なため、皮膚や骨、関節の健康に重要な役割を果たします。ビタミンCはアミノ酸の代謝や神経伝達物質の合成、養蚕や鉄分等の多くの栄養素の活用に必要です。また、体の細胞や分子を遊離基や通常の代謝や環境的ストレスから生まれる活性酸素分子によるダメージから守る上で効果的な抗酸化物質でもあります。本製品はビタミンCを継続的に放出するよう特別に開発され、ビタミンCを増量するためローズヒップを配合しています。
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NOWサン-E 400は、アイデンティティ・プリザーブド(IP)、非遺伝子組換えのヒマワリ種子油に由来する大豆を含まない天然ビタミンEです。ビタミンEは主要な抗酸化物質であり、体の脂質過酸化に対する最初のディフェンスです。これは、細胞のフリーラジカルや酸化のダメージに対する保護にとって特に重要なものです。これらの防御的なメリットは、通常の食生活で消費される食品に含まれる量をサプリで補充すると得ることができます。
Now Foods, 亜鉛、50 mg、250粒(商品リンク)
亜鉛は、骨格系、免疫系、神経系、および内分泌系を含む体内の多くの臓器と系統の正常な機能に不可欠です。亜鉛は、タンパク質および炭水化物の代謝、RNA / DNAの合成、および細胞間シグナル伝達に関連する何百もの酵素反応に必要なミネラル補因子です。また、酸化過程に対する体の防御で重要な役割を果たすことも知られており、特に健康的な加齢維持に有効です。
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このソフトゲルの天然のフィッシュオイル濃縮物は、厳格な品質管理基準のもと製造されています。
炎症を引き起こす食べ物を避ける
そして、炎症を引き起こす食べ物を避けることも大切です。特に以下の食品は食べないように注意してください。
- 単糖類(砂糖、キャンディー、ドーナッツ、食パンなど)
- 脂質(マーガリン、ショートニング)
- 精製肉(ホットドッグ、ソーセージ、ハンバーガー)
これらの食品は、いずれも炎症を引き起こす傾向がありますので、食べ続けることで”慢性炎症”が発生します。
慢性炎症は怪我からの回復を遅らせるだけでなく、胃腸の状態を悪化させ、膠原病(リウマチ、クローン病、線維筋痛症など)やがん(癌)のリスクを高めると言われています。
従って、基本的には怪我の有無にかかわらず、普段から避けるべき食品です。
質の高い栄養素を摂る
怪我によって、筋トレがまったくできない(もしくは部分的にしかできない)場合、いつもよりお腹が空かないかもしれません。
しかし、だからと言って、栄養摂取を怠ると怪我からの回復は遅れてしまいます。
筋トレをしていたときよりも、摂取カロリーが減ったとしても、ビタミン・ミネラルなどの微量元素、そしてタンパク質、オメガ3などは最低限の量を確保しなければなりません。
どうしても、食事から摂れない場合はサプリメントの量を多少増やしても構わないので、摂るように心がけましょう。
野菜とフルーツは多めに摂る
野菜やフルーツにはフィトケミカルという栄養素が含まれています。
フィトケミカルには抗炎症作用があり、怪我によって生じた炎症反応を抑える働きがあります。
ファイトケミカルの代表的なものには、ポリフェノールやイソフラボン、ベータカロチンなどがあります。
野菜や果物はカラフルな色をしていますが、これらの色は異なるフィトケミカルによるものです。
ポリフェノール;赤ワイン
カテキン;緑茶
ルチン;そば
アントシアニン;ブルーベリー
リコピン;トマト
イソフラボン;大豆
フィトケミカルに関しては、以下の記事で詳細を解説していますので、興味ある方はぜひご一読ください。
また、野菜や果物には抗酸化物質も含まれており、これも怪我からの回復に大いに役立ちます。
脂質について
サラダ油は炎症を促す作用があります。よって、揚げ物は食べないようにしましょう。これは、怪我をしていなくても同様です。
またサフラワーオイルやセサミオイル(ごま油)も、炎症作用があるのでできる限り避けましょう。
その代わり、低温の調理には亜麻仁油(flaxseed oil)、高温の調理にはクルミオイル(walnut oil)を使うと良いでしょう。両方とも抗炎症作用を持つオメガ3が豊富に含まれています。
油を選ぶときは、以下の2点であることを確認しましょう。
- 不飽和脂肪酸
- オメガ3
不飽和脂肪酸もオメガ3も抗炎症作用を持っています。
不飽和脂肪酸を多く含んでいる油には、チアシードや亜麻仁があります。また、オメガ3は魚類(フィッシュオイル)、アボカド、ナッツ類などに多く含まれています。
特にナッツ類には、オメガ3以外にマグネシウムやL-アルギニン、αリノレン酸(不飽和脂肪酸)、抗酸化物質などが含まれており、強力な抗炎症作用を持っています。
怪我からの回復に必要なタンパク質の量
筋トレは筋線維の破壊行為です。そして、筋トレ後のプロテインは、破壊されて筋線維を修復するために必要な材料ですね。
怪我によって、損傷した筋肉の回復も同様にタンパク質が必要です。
タンパク質は、損傷した筋肉線維の修復以外にも、コラーゲン(軟骨の再生に必要な栄養素)線維の再生、免疫力の強化にも大切な栄養素です。
Sports Medicine に発表されたリサーチによると、トレーニングによる怪我からの回復には、最低でも1日に体重1㎏当たり2.0gから2.5gのタンパク質が必要であると報告されています。
体重80㎏の人の場合、1日160gから200gのタンパク質が推奨されています。これは、1日のタンパク質摂取量としては、かなりの量になります。
炭水化物の摂取量は減らす
炭水化物は主にトレーニングによって消費されます。しかし、怪我によって筋トレができない場合、必然的にその必要量は減ります。
よって、怪我によって筋トレができない場合、炭水化物の摂取量は減らすのが良いでしょう。炭水化物を減らした分、タンパク質の摂取量を増やすことができます。
先にも書いたように、怪我からの回復には大量のタンパク質が必要です。
ただし、炭水化物の量を減らすと言っても、ある程度の量は確保する必要があります。
その際、グリセミック指数の低い炭水化物を選ぶようにします。
グリセミック指数ってなに?
グリセミック指数とは、糖質を食べた後、血中に溶け出すまでのスピードを相対的に評価した指数のことです。グリセミック指数が高いと、糖質が素早く血中に溶け出すことを意味しています。一般に砂糖などの単糖類のグリセミック指数は高いです。
アルコールも避けるべき
アルコールも炎症を悪化させます。よって、飲酒は怪我の回復を遅らせることになります。
Sports Medicineにおいても、「もし怪我からの回復を遅らせたくなければ、アルコールは摂るべきではない」と結論付けています。
しかし、赤ワインに含まれているポリフェノールには、炎症を改善させる働きもあるため、少量(週にグラス数杯のワイン)であれば怪我の回復をより促進させる可能性もあります。
HMBは試してみる価値あり
HMB(beta-hydroxymetylbutyrate)は、怪我からの回復を早める可能性があります。
HMBはアミノ酸の一種であり、怪我やトレーニングによって破壊された筋肉繊維の修復をしてくれます。
1日当たりのおすすめの摂取量は3gです。
またHMBに加水分解コラーゲンを加えることで、靱帯や腱の修復をさらに促進させることが可能になります。
Optimum Nutrition, HMB 1000キャップス、90カプセル(商品リンク)
HMB (ß-ヒドロキシ ß-メチル酪酸) は分枝鎖アミノ酸ロイシンの代謝物質です。HMBは筋肉組織を維持する働きがあります。また、定期的な運動および適切な食事と組み合わせることで、筋力および筋量を維持するのにも役立ちます。さらに、激しい運動からの回復を促進させる働きもあります。
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