小後頭直筋の解剖学と関連症状

小後頭直筋は後頭下筋群の一つです。

後頭下筋群には小後頭直筋以外に大後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋があります。

 

  • 大後頭直筋
  • 小後頭直筋
  • 上頭斜筋
  • 下頭斜筋

 

後頭下筋群の状態は、頚椎の姿勢に影響を及ぼします。また頭頚部痛やめまい、耳鳴りなどの症状の原因にもなります。

本記事では小後頭直筋の解剖学と関連症状について解説してあります。

小後頭直筋の解剖学

起始;C1後結節

停止;後頭骨下項線(内側1/3)

作用;頭部の伸展(両側収縮)、同側回旋(片側収縮)

神経支配;後頭下神経(C1頚神経後枝)

特に小後頭直筋は脊髄硬膜との間に結合組織があります(下図)。そのため、小後頭直筋には脊髄硬膜を牽引する役割があると言われています。

小後頭直筋と硬膜

小後頭直筋と硬膜は、結合組織を介して癒合しています(下図)。従って、小後頭直筋のコンディションは、硬膜へ直接的に影響を及ぼします。

 

一説によると、小後頭直筋には収縮することにより硬膜を牽引する役割があるとしています。

逆に小後頭直筋の過緊張は、直接的に硬膜のテンションを上昇させることとなり、それが頭痛などの症状(また脊髄刺激症状)を引き起こす可能性があります。

バイオメカニクス

胸椎の過剰後弯曲(いわゆる猫背)により、頭部前突位が顕著になります。頭部が前突位になっているとき、頚椎では以下のような変位が起こっています。

  1. 下部頚椎(C5-C7)の屈曲
  2. 上部頚椎(C0-C2)の伸展

従って、猫背では上部頚椎が伸展位となるため、後頭下筋群は拘縮した状態になります。

関連症状

小後頭直筋のに起因する関連症状には以下のようなものがあります。

  1. 頭痛
  2. めまい
  3. 耳鳴り
  4. 吐き気

頭部が前突位になることで、上部頚椎は過伸展変位になっています。

そのため、小後頭直筋は常に拘縮状態にあります。

小後頭直筋は硬膜と癒合しているためこの筋肉の拘縮は、頭痛(頚性頭痛)やめまい、耳鳴りなどの原因になります。

関連動画

 

 

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