尺側手根伸筋には上腕頭と尺骨頭の二つの筋腹があり、それぞれ起始が異なります。
また、尺側手根伸筋腱(停止側)は第6手背コンパートメントを走行しており、腱鞘炎やサブラクセーションなどが起こります。
本記事では尺側手根伸筋の解剖学と関連症状について解説してあります。
解剖学
尺側手根伸筋の起始・停止・作用・神経支配は以下の通りです。
起始;上腕頭:外側上顆、内側側副靭帯、 尺骨頭:尺骨後面
停止;第5中手骨底
作用;手関節の伸展、尺屈
神経支配;橈骨神経(深枝)、C6-C8
関連症状
尺側手根伸筋腱炎
尺側手根伸筋腱炎は手首の回内・回外や屈曲・伸展を頻繁に繰り返すことで発症します。テニスやゴルフなどで発症するケースが多いです。
手首尺側の痛みや腫脹が主な症状です、痛みは手首の伸展や回内・回外で増悪します。
尺側手根伸筋腱炎は手首の回内・回外、屈曲・伸展の反復動作によって引き起こされます。ゴルフやテニスなどが原因になります。 本記事では尺側手根伸筋腱炎の原因・症状・治療法について解説してあります。 解剖学 尺側手根伸筋の起始・停止・作[…]
尺側手根伸筋腱のサブラクセーション
尺側手根伸筋腱は尺骨にある溝(尺骨溝)を走行しており、その上を下層腱鞘(subsheath)によって覆われています。
下層腱鞘は前腕の急激な回外や手首尺屈位での屈曲の反復によって、損傷することがあります。その結果、尺側手根伸筋腱のサブラクセーション(手掌側へずれる)が発生します。
尺側手根伸筋腱のサブラクセーションが頻繁に繰り返されると、尺側手根屈筋腱炎に発展します。
解剖学の勉強におすすめの書籍
イラストの美しさと解剖学的正確さで世界的に定評のある『ネッター解剖学アトラス』の第6版。 今改訂では図の追加・入れ替えに加え、各章末に主要な筋の起始・停止などをまとめた表が掲載。
これまで以上により深い知識を得ることができるようになった。また、前版で好評であった学習サイトStudent Consult(英語版)も引き続き閲覧可能。
学生、研究者からすべての医療従事者に支持される解剖学アトラスの決定版(アマゾンより)
大好評のプロメテウス解剖学アトラス、解剖学総論/運動器系が待望の改訂。
美麗なイラストに的確な解説文を組み合わせた従来の良さ・強みを残したまま、図版の配置や解説文の推敲を重ね、さらなるわかりやすさを追求している。
医師・医学生にとどまらず、全ての医療職の方々から支持される理由は、手に取れば自ずと理解されるだろう。
さらに洗練された解剖学アトラスの最高峰。プロメテウスの進化は止まらない(アマゾンより)。
関連動画
関連記事
インターセクション症候群は、リスター結節(橈骨茎状突起から4~8㎝近位)における局所的な鋭い痛み、捻髪音、腫脹が特徴的な症状です。
インターセクション症候群は腱交叉症候群(けんこうさしょうこうぐん)とも呼ばれています。 インターセクション症候群は、1842年にVelpeauによって初めて提唱されました。手首の屈曲/伸展を反復することで発症します。 発[…]
尺側手根伸筋腱のサブラクセーションは手首の回内・回外、屈曲・伸展の反復動作によって引き起こされます。ゴルフやテニスなどが原因になります。本記事では尺側手根伸筋腱炎の原因・症状・治療法について解説してあります。
尺側手根伸筋腱の脱臼は手首の回内・回外、屈曲・伸展の反復動作によって引き起こされます。ゴルフやテニスなどが原因になります。 本記事では尺側手根伸筋腱炎の原因・症状・治療法について解説してあります。 解剖学 尺側手根伸筋の起始・停止[…]
ド・ケルバン腱鞘炎の症状は以下の通りです。痛みは母指の付け根に局在していることが多いですが、症状の悪化に伴い前腕にかけて広がる場合もあります。
ド・ケルバン腱鞘炎は、スイス人外科医(Fritz de Quervain)により1895年に命名されました。狭窄性腱鞘炎とも呼ばれ、腱鞘炎の一種です。母指の付け根に鋭い痛みが現れます。 手首をひねったり(回内または回外)、[…]
手首の背側には6つのコンパートメントがあります。もっとも外側にあるのが、第1コンパートメントであり、長母指外転筋と短母指伸筋が含まれています。また、そのすぐ内側にあるのが第2コンパートメントです。
コンパートメント(Compartment)とは、「区画」を意味しています。 手背コンパートメントは手首の手背にあるコンパートメントであり、6つのコンパートメントがあります。 本記事では手背コンパートメントの解剖学と関連症状について解説し[…]