後脛骨筋の解剖学と関連症状

解剖学(起始・停止・作用・神経支配)

起始;脛骨・腓骨・下腿骨間膜の近位1/2

停止;舟状骨(粗面)、楔状骨(内側・中間・外側)、第2-4中足骨底

作用;足関節の底屈・内反

神経支配;脛骨神経、L4-S1

後脛骨筋の機能低下

扁平足

後脛骨筋は足底アーチの保持にとって重要な機能を持っています。特に内側アーチ(縦足弓)と前側アーチ(横足弓)の保持をしています。

従って、後脛骨筋の機能低下は足底アーチが消失し扁平足となります。

足関節の過剰回内

後脛骨筋の機能低下は、足関節の過剰回内の原因にもなります。

足関節の過剰回内は以下のような症状を誘発させます。

  • 足底腱膜炎
  • 後脛骨筋腱炎
  • シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
  • 脛骨の疲労骨折

関連症状

シンスプリント

シンスプリントは脛骨過労性骨膜炎(Medial tibial stress syndrome)とも呼ばれています。

痛みは、脛骨後内側の遠位1/3付近に局在しています。

初期段階では、運動開始と共に徐々に痛みが増悪し、運動の中止によりすぐに治まります。 また症状の進行と共に運動開始直後からでも痛みが現れるようになり、痛みが軽減するまで時間がかかるようになります。

ランニングやジャンプなどの反復運動により、下腿部の筋肉には疲労が蓄積していきます。

それに伴い、筋肉の衝撃吸収能力の低下が起こり、代償的に骨への負荷が高まり骨膜炎が引き起こされます (Clement DB, 1974)。

後脛骨筋腱炎

後脛骨筋腱炎では踵(内果)の内側に鋭い局所痛が現れます。

距骨下関節(踵骨)の過剰回内が発症のメカニズムになります。荷重位において踵骨が過剰に内反することにより、反復性の負荷が後脛骨筋腱にかかります。それにより炎症が起こります。

関連動画

 

 

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