恥骨結合の関節運動学と関連症状

恥骨結合は左右の恥骨が連結して形成されており、その間には恥骨間円板と呼ばれる線維軟骨性組織が挟まっています。

恥骨結合は滑膜性関節であり、わずかですが可動性を持っています。

本記事では恥骨結合の関節運動学と関連症状について解説してあります。

関節運動学

恥骨結合には以下の2方向の運動があります。

  1. 内転・外転
  2. 上方回旋・下方回旋

内転・外転

恥骨結合の内転・外転の運動は、仙骨うなずき運動(屈曲・伸展)と連動しています。

仙骨が屈曲(うなずき)すると、恥骨結合では外転が起こります。

 

一方、仙骨が伸展(起き上がり)すると、恥骨結合では内転が起こります。

 

  1. 仙骨の屈曲⇒恥骨結合の内転
  2. 仙骨の伸展⇒恥骨結合の外転

それでは、恥骨結合の内転と外転をもう少し詳しく見ていきます。

まず恥骨結合の内転からです。

内転では恥骨結合の上部が離解し下部が圧迫します(下図)。

一方、外転では恥骨結合の上部が圧迫、下部が理解します(下図)。

  1. 内転⇒恥骨結合上部の離解+下部の圧迫
  2. 外転⇒恥骨結合上部の圧迫+下部の離解

上方回旋・下方回旋

恥骨結合の上方回旋・下方回旋は、腸骨の後方回旋・前方回旋と連動しています。

腸骨が後方回旋すると恥骨結合では上方回旋が起こります。

また、腸骨が前方回旋すると恥骨結合では下方回旋が起こります。

 

  1. 腸骨の後方回旋⇒恥骨結合の上方回旋
  2. 腸骨の前方回旋⇒恥骨結合の下方回旋

 

関連症状

恥骨結合炎

恥骨結合炎の原因には、感染症やスポーツ障害(傷害)、妊娠(産後)などがあります。

症状は恥骨結合の局所的な鋭い痛みです。

ダッシュやスクワットなどで痛みが増悪します。またサッカーでボールを蹴る瞬間に恥骨結合に鋭い痛みが現れる場合もあります。

関連記事

恥骨結合は左右の恥骨が連結してできる滑膜性関節です。可動性は非常に限定的で2㎜程度しかありません。 恥骨結合炎は、ホルモンバランスや靭帯の機能低下などにより、恥骨結合周辺にある筋肉(腱)や関節包などに炎症が起こっています。 本記事で[…]

関節運動学のおすすめ書籍

以下の2冊は関節運動学を理解するためにとてもよい教材となります。

カパンジーで関節運動学の基礎を学び、「筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版」でさらに詳細を理解するのがおすすめです。

関節運動学の基礎を理解しているなら、最初から「筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版」の一択でも大丈夫です。個人的には一冊目の「筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版」が一押しの参考書です。

 

運動器障害における運動・動作分析の「準拠の枠組み」となるべく,900以上のカラーイラストや表とともに理路整然とした記述で説かれている世界的名著の原著第3版の完訳版

原著1st edから査読者をつとめてきたP.D.Andrew氏を新たな監訳者に迎え,すべての章を翻訳し直しており,より読みやすく,より的確で深い理解を得られる内容となった(アマゾンより抜粋)

 

豊富なイラストを用いた図解,わかりやすい解説によりまとめられた,世界的名著の原著第7版の完訳版.機能解剖学の名著として高い評価を得てきたシリーズ全3巻について,待望の完訳版を同時刊行!

骨・関節・筋の機能解剖学,生体力学,運動学について,簡明で理解しやすいイラストと明解な文章でわかりやすく解説した,機能解剖学の集大成!

「III 脊椎・体幹・頭部」では,「重心」「関節」に関する新項目が追加されたほか,各巻に「解剖学用語一覧」を掲載

リハビリテーション科医,整形外科医,理学療法士,作業療法士,柔道整復師など,臨床の現場で活躍する医療職に役立つのはもちろんのこと,機能解剖学・運動学のテキストとして養成校の学生にも活用いただける内容(アマゾンより抜粋)

関連動画

 

関連記事

恥骨結合炎はランニングやジャンプ、スケート、シットアップなどの反復動作が原因になります。

関連記事

恥骨結合は左右の恥骨が連結してできる滑膜性関節です。可動性は非常に限定的で2㎜程度しかありません。 恥骨結合炎は、ホルモンバランスや靭帯の機能低下などにより、恥骨結合周辺にある筋肉(腱)や関節包などに炎症が起こっています。 本記事で[…]

 

膝窩筋腱炎の記事はこちら。

関連記事

膝窩筋の起始は、大腿骨外側顆、腓骨頭、外側半月後角の3か所にあります。 これらの中で大腿骨外側顆の付着がもっとも強く、また外側半月後角に付着していないケースも多いです(Tria AJ, J Bone Joint Surg […]

 

ランナーや登山家に多い腸脛靭帯症候群の記事です。

関連記事

腸脛靭帯症候群は1975年にRennelによって初めて定義されました(Renne JW., 1975, http://bit.ly/2vhMxwo)。 反復傷害であり、膝の痛みとして最も多い原因と言われています。特にサッカ[…]

 

中高生の運動選手に多いオスグッド病についての記事です。

関連記事

オスグッド・シュラッター病は、アメリカ人の整形外科医Robert Osgood (1873-1956)とスイス人の外科医Carl Schlatter (1864-1934)の2人の名前から命名されました。 この疾患は小学生[…]

記事はいかがでしたか?

こちらには記事を読んでいただいた方にもっとも適した広告が表示されます。

最新情報をチェックしよう!