筋トレ前のプロテインは効果があるのか

筋トレ前(運動前)のプロテインにはメリットがあるのか!?

筋トレ(ウエイトトレーニング)をしているなら、プロテインを飲んでいる人も多いと思います。

筋トレ直後(運動直後)のプロテインは、必須であることは知っていると思いますが、それでは筋トレ前(運動前)のプロテインはどうでしょうか?

普通に考えると、筋トレ(運動)前はプロテイン(タンパク質)ではなく、エネルギーとして変換されやすい炭水化物(果物などの単糖類)を摂る方が良さそうな気もします。

確かに、筋トレ前のエネルギー補給は大切であり、プライオリティだと思います。
しかし、同事にプロテイン(タンパク質)もある程度補給しておくと、メリット(効果)もあります。

本記事では、筋トレ前に摂るプロテインのメリット(効果)と、その効果を最大限に引き出すための飲むタイミングについて解説していきます。

筋トレは筋線維の破壊作業

筋トレでやっていることは、筋線維の破壊作業です。
従って、筋トレ中に筋線維が強く・太く(バルクアップ)なっているわけではありません。

まずはこのことをしっかりと理解しておく必要があります。

筋線維が強く・太くなるのは、休息時になります。
従って、筋トレによってダメージを受けた筋線維の修復作業は休息時に行われています。

このときに必要となるのが、プロテイン(アミノ酸)です。
つまり、プロテインは筋線維の修復作業で使われる材料になります。

以上からもわかるように、休息時に身体にプロテイン(タンパク質)を送り込むことが超回復にとっていかに大切であるかがわかると思います。

超回復とは?
筋トレによってダメージを受けた筋線維が、休息時に修復され筋トレ前よりも強く・太くなることを超回復と言います。筋トレと超回復を繰り返して筋線維は強く・太くなっていきます。

筋トレ前に必要な栄養素

筋トレ前に必要な栄養素のトッププライオリティは、何といっても炭水化物です。

炭水化物の中でもエネルギーに変換されやすい、単糖類や果糖(二糖類)などがおすすめです。
果糖は果物に多く含まれている炭水化物です(二糖類)。

筋トレ前にバナナを1本食べておけば十分でしょう。
しかし、ローカーボダイエットをしていて、あまり炭水化物を摂りたくないというトレーニーもいると思います。

その場合の選択肢はMCTオイルになります。MCTオイルは中鎖脂肪酸のことです。
MCTオイルの特徴は、消化・吸収が通常の植物油(長鎖脂肪酸)よりも早いことです。

従って、エネルギーに変換されやすく、筋トレ前のエネルギー補給として効果的です。
MCTオイルは、ココナッツ油やパーム油に多く含まれていますが、サプリメントとしてMCTオイルを単独で摂ることも可能です。

筋トレ前のエネルギー補給にMCTオイルNow Foods, スポーツ、ピュアMCTオイル、16液量オンス (473 ml)(商品リンク)
中鎖脂肪酸(MCT)はココナッツとパーム核油に含まれている自然の脂肪です。それはその他の脂肪より簡単に素早く消化されます。MCTは消化管から素早く吸収されて、肝臓により迅速に新陳代謝され、脂肪を蓄えるのではなくエネルギーとして使うように促すと報告されています。健康的な体重と身体組成のために、その他の脂肪をMCTオイルに代えることが数々の研究で推奨されています。

MCTオイルはローカーボダイエット中のエネルギー源

一方、タンパク質(プロテイン)は炭水化物や脂質に比べるとエネルギー効率は良くありません。
筋トレ前にプロテインを摂ることには、メリットがあるのでしょうか?

ここからがいよいよ本題です。

筋トレ前に摂るプロテインのメリット!?

先にも書きましたが、筋トレ中は筋線維の破壊が起こっています。
そして、修復作業は筋トレ後に行われます(このタイミングでのプロテインは必須)。

それでは、筋トレ前にプロテインを摂ることにメリットはあるのでしょうか。

タンパク質(プロテイン)がエネルギー源として使われるのは、炭水化物(糖質、グリコーゲン)が枯渇しているときです。

つまり、身体にグリコーゲンが十分にある場合、タンパク質はエネルギー源として使われれることはありません(プロテインのこんな使われ方はもったいないですね)。

よく言われるのが、「プロテイン(タンパク質)を筋トレ前に補給しておくと、筋線維のダメージが少なくなり、スムーズな回復に役立つ」です。

しかし、これも良く考えてみると、おかしな話です。
なぜなら、先にも書いたように、筋トレの目的は「筋線維の破壊」だからです。

筋線維の破壊を目的にしているにもかかわらず、その破壊(ダメージ)を少なくするというのは、完全に論理破綻しています。

BCAAが筋肉のエネルギー源になるから筋トレ前の摂取は有効!?

BCAAとは、英語のBranched Chain Amino Acidの頭文字を取って作られた単語です。
日本語では分岐鎖アミノ酸のことになります。

具体的にはロイシン、イソロイシン、バリンの3つのアミノ酸のことです。
筋肉を構成しているタンパク質の35%ほどがBCAAと言われていますので、重要なアミノ酸であることがわかると思います。

また、BCAAは運動によって、もっとも消耗される(消費量が多い)アミノ酸であることもわかっています。

これが、筋トレ前にプロテイン(BCAA)を摂ると良いと主張している人たち(主にアミノ酸を売っているサプリメントの会社)の言い分です。

しかし、これらのことは科学的な事実として間違ってはいません。
しかし、この事実から「より効果的な筋トレができる」とか「運動前のBCAAの摂取により運動パフォーマンスがあがる」と結論付けるのは早計です。

(「効果的な筋トレ」とは、筋トレにより筋量増量、筋力増強が効率的に達成される状態のこと)

なぜなら、そのようなことが実証されている科学的論文(エビデンス)はゼロだからです。

従って、現段階では「筋トレ前のプロテイン(BCAA)は何もメリットがない」と言わざるを得ません。
しかし、筋トレ後のBCAA摂取は大きなメリットがあります。

BCAAとHMB
BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)の中でも、特にロイシンは受容なアミノ酸です。ロイシンが代謝されるとHMBという有機化合物ができますが、HMBという物質はタンパク質が壊れるのを防ぎ、筋トレでダメージを受けた筋線維の修復をする作用が非常に強いと言われています。

日本人トレーニーの多くはサプリメント会社の宣伝に騙されている?

日本に帰国して驚いたのは、多くのビルダーが筋トレ中に「何かの飲み物」を飲んでいることです。
その飲み物は赤色やら緑色やらカラフルなものだったので、水でないことは確かでした。

このような光景はアメリカのジムでは一度も見かけたことがありませんでしたので、非常に印象的でした(アメリカのゴールドジムで15年ほどトレーニングしています)。

後から、その飲み物の正体がBCAAを溶かしたドリンクであることを知ります。

そして、ネットなどで盛んに筋トレ前と筋トレ中のBCAA摂取を推奨するサプリメント会社の宣伝を見て、「そういうことか」と腑に落ちました。

多くのトレーニー(ビルダーがほとんど)は、この宣伝文句に乗せられてBCAAを筋トレ中にも補給していたのです。

ある有名なサプリメント会社のホームページには、ご丁寧に「運動の30分前にBCAAを摂るのがベスト」とまで明記してありました。

(その理由は、BCAAが吸収されるまでに30分を要するから)

何事も同じですが、鵜呑みは禁物です。
情報過多の時代ですので、やみくもに情報を信用していたらきりがありません。

まずは、「科学的・論理的に破綻していなのか」を考えてみてください。
もし、その段階で矛盾がないようなら、次に検証作業となります。

筋トレ前のプロテイン(BCAA)摂取の検証結果

ずばり結論から書きます。「ほぼ体感なし」でした。つまり、効果はまったく感じませんでした。

私が検証した効果は、具体的には以下の3項目です。

  • 超回復
  • 筋力
  • 筋量

プロテインの場合、摂取してから消化・吸収されるまでに1時間程度かかるので、筋トレの1時間前に摂取しました。

筋トレ開始のタイミングでプロテインがアミノ酸に分解されて吸収されているという想定です。
また、BCAAの場合は筋トレの30分前に摂ってみました。

これを3,4か月継続してみましたが、トレーニング前にプロテインを摂っていない場合と比較して、何も変化はありませんでした。

しかし、体感には当然ながら個人差がつきものです。
各自、BCAAの効果を検証してみることをおすすめします。

まとめ

先にも書きましたが、情報の鵜呑みは禁物です。かと言って、全てを否定することもできません。

大切なのは、「論理に矛盾がないこと」そして「検証作業」です。

後半は私自身の体験からのお話が中心になりましたが、この記事を読んでも「どうしても試してみたい」というのであれば、ぜひとも検証してみてください。

もしかしたら、筋トレ前のプロテインが劇的な変化をもたらすかもしれません。

結論としては、「筋トレ前はプロテインではなく、糖質もしくはMCTオイルを摂りましょう」です。
これが王道だと思います。

運動前は糖質もしくはMCTオイルが王道

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ボディビル歴33年。国内外のボディビル大会で優勝・入賞経験多数。自らの肉体を実験台にして、ウエイトトレーニングや食事(サプリメント)を実践。医学博士号(スポーツ医学)所持。プロフィール詳細。

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