プロテインパウダーの選び方

プロテインの種類と目的別選び方【バルクアップ&ダイエット】

一昔前まではプロテインと言えばソイプロテイン(大豆ベース)だけだったので、選択に迷うことはありませんでした。当たり前ですね。一択なのですから。

しかし、今や様々な種類のプロテインがあり、どのタイプのプロテインを選んだらよいのか迷っている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、現在市場に出回っている様々なプロテインパウダーの種類と特徴、さらに目的別のプロテインパウダーの選び方について解説してあります。

プロテインとはなに?

プロテインパウダー

まずは超基本的なところから。「そもそもプロテインとはなに?」という質問についてお答えしていきたいと思います。

プロテインパウダーは、動物由来または植物由来のタンパク質(卵、米、豆類、牛乳など)を高濃度で凝縮したものです。

主に3つのタイプに分類することができます。

  1. 濃縮タンパク質(Protein concentrates)
  2. 分離タンパク質(Protein isolates)
  3. 加水分解タンパク質(Protein hydrolysates)

濃縮タンパク質(Protein concentrates)

濃縮タンパク質では、原材料を熱処理しさらに酸または酵素によって処理することによりタンパク質を抽出します。

この処理法では、およそ60%から80%のタンパク質が抽出されるので、残りの20~40%は脂質と糖質になります。

分離タンパク質(Protein isolates)

分離タンパク質では、さらにフィルタリングを行うことで脂質と糖質を除去されています。それに伴い、タンパク質の含有量が著しく増えます(90%から95%)。

加水分解タンパク質(Protein hydrolysates)

加水分解タンパク質では、熱と酵素による処理をさらに行うことで、タンパク質をさらに小さなアミノ酸分子に分解してあります。
従って、加水分解タンパク質は上記2つのタンパク質よりも、より迅速に吸収されます。
加水分解タンパク質は、他の2つのプロテインのタイプに比べ血中インスリン濃度を上昇させることがわかっています (Power O, 2009, http://bit.ly/2OjEbuu)。
インスリンは蛋白同化作用があるので、加水分解タンパク質はバルクアップにはもっとも適したプロテインと言えるでしょう。

ホエイプロテイン

ホエイプロテインの原料は牛乳です。このタンパク質は、チーズを作る過程においてカード(凝乳)から分離される液体です。
この液体は高濃度のタンパク質が含まれていますが、乳糖も多く含まれています。日本人の多くは乳糖不耐症(乳糖に対するアレルギー症状)を持っているので、このままのフォームでは消化・吸収に問題が生じます。
濃縮ホエイプロテインにはわずかに乳糖を含んでいますが、分離ホエイプロテインには乳糖は全く含まれていません(生成過程で完全に除去されてしまう)。
従って、乳糖に対して敏感な人は、分離ホエイプロテインを選ぶようにすると良いでしょう。
カゼインプロテイがどうしてゆっくりと吸収されるかと言いますと、このプロテインが胃酸と混ざるとジェル状の塊になるからです。
それにより、胃から腸へと移動するのに時間がかかってしまうのです。当然ながら、アミノ酸に分解され血中に溶け出すまでの時間もホエイプロテインに比べるとかなり遅くなります。
しかし、このことは決してデメリットというわけではありません。カゼインプロテイから分解されたアミノ酸は、ゆっくりと血中に溶け出すため、長時間アミノ酸が供給されます。

カゼインプロテインの特徴

  1. カゼインプロテインはホエイプロテインに比べゆっくりと消化・吸収される
  2. カゼインプロテインは長時間アミノ酸が供給される(タイムドリリース)

エッグプロテイン

エッグプロテイン
卵に含まれているタンパク質は、あらゆる食品の中でも超がつくほど優れモノのタンパク質です。
つまり、卵のタンパク質は消化・吸収に優れており、体内での利用効率がもっとも高いというわけです。
さらに、卵のタンパク質は食欲を抑える働きもあるため、ダイエット効果もあります。
エッグプロテインの優れているところは、9つの必須アミノ酸が全て含まれていることです。
また、ロイシン(アミノ酸の一種)も多く含まれています。ロイシンはBCAAの一つであり、バルクアップには欠かせない栄養素の一つです。

エッグプロテインの特徴

  1. エッグプロテインは消化・吸収に優れている
  2. エッグプロテインは体内での利用効率が高い
  3. エッグプロテインには9つの必須アミノ酸が全て含まれている
  4. エッグプロテインはバルクアップに欠かせないロイシンが大量に含まれている

ピープロテイン

ピープロテインは、エンドウ豆から作られたプロテインパウダーです。
ピープロテインはエッグプロテインと同様、BCAA(分岐鎖アミノ酸)が豊富に含まれています。
また、タンパク質の吸収スピードは、カゼインプロテイよりも早くホエイプロテインよりも遅いことがわかっています (Overduin J, 2015, http://bit.ly/2QyLPnI)
プロテインの吸収スピード比較
ホエイプロテイン>ピープロテイン>カゼインプロテイン

また、高血圧のラットを使ったリサーチですが、ピープロテインの摂取により血圧の低下が認められています (Li H, 2011, http://bit.ly/2r6fF8a)。

ピープロテインの特徴

  1. ピープロテインにはBCAAが豊富に含まれている
  2. ピープロテインの吸収スピードは、カゼインプロテインよりも早くホエイプロテインよりも遅い
  3. ピープロテインには血圧を下げる働きがあるかもしれない

関連記事;ピープロテインの効果・効能・メリット・副作用

ヘンププロテインは、植物性由来のタンパク質によって作られています。
ヘンププロテインにはオメガ3や必須アミノ酸が豊富に含まれています。しかし、リジンとロイシンの含有量がとても低いため、アミノ酸スコアは他のプロテインに比べ低くなっています。

ヘンププロテインの特徴

  1. ヘンププロテインは植物由来のタンパク質から作られている
  2. ヘンププロテインにはオメガ3が豊富に含まれている
  3. ヘンププロテインにはリジンとロイシンの含有量が低い

ブラウンライスプロテイン

ブラウンライスはホエイプロテインに比べるとバルクアップには、適していないと言われています。
また、ブラウンライスには必須アミノ酸が全て含まれていますが、リジンの含有量がとても少なくなっています。

植物性プロテイン

プロテインパウダーの中には、植物由来のタンパク質を配合して作られているものもあります。
主に以下の原料を2つ以上配合して作られていることが多いようです。
  • ブラウンライス(Brown rice)
  • エンドウ豆(Pea)
  • ヘンプ(Hemp)
  • アルファルファ(Alfalfa)
  • チアシード(Chia seeds)
  • フラックスシード(Flax seeds)

植物性プロテインには繊維が多く含まれているため、動物性プロテインに比べると吸収スピードはゆっくりになります。

また、アミノ酸組成が動物性プロテインに比べると劣っているため、トレーニング直後に必要なアミノ酸を補えない可能性があります。

そういう意味では、植物性プロテインを単独で摂るのは、体内でのアミノ酸利用効率が低くなるため、動物性プロテインと一緒に摂るのが良いかもしれません。

目的別おすすめのプロテインパウダー

バルクアップ

バルクアップにはホエイプロテインがもっとも適しています。これはリサーチによっても実証されています。

以下におすすめのホエイプロテインをご紹介します。

Jarrow Formulas, ホエイプロテイン (908 g)(商品リンク)
ホエイプロテインは分岐鎖アミノ酸(BCAA) (イソロイシン、ロイシンとバリン)が豊富な自然の供給源です。Jarrow Formulasホエイプロテインは1さじ(23 g)で約4 gのBCAAを提供し、1グラム当りの量で市販品の中で最高クラスのBCAA供給源です。Jarrow Formulasホエイプロテインは必須アミノ酸が豊富(1回分≥8.5 g)で、卵と同等で最高クオリティのタンパク質供給源の1つになっています。
オーガニックホエイプロテインNow Foodsスポーツ, オーガニック ホエイプロテイン, 無香料454 g(商品リンク)
NOW認定オーガニックホエイプロテインは、成長ホルモン、抗生物質、農薬を使用することなく生育された乳牛のミルクを使用しています。100%天然のホエイプロテインです。ホエイプロテインには、分枝鎖アミノ酸(BCAA)が豊富に含まれており、バルクアップには最適なタンパク源です。

ダイエット

ダイエットを成功させるためには、糖質の摂取量をコントロールすることがポイントとなります。

従って、プロテインを選ぶときは糖質の含有量が少ないものを選ぶのが良いでしょう。

以下はダイエットにおすすめのプロテインパウダーです。

Garden of Life, RAW Fit, ダイエット用 高タンパク質, 16オンス (451 g)Garden of Life, RAW Fit, ダイエット用 高タンパク質, 16オンス (451 g)(商品リンク)
このプロテインパウダーは、100%植物由来のタンパク質から付暮れれています。1スクープ(43g)当たりのタンパク質は28 g に対して、糖分は1g以下となっており、ダイエット中の糖質の摂取量をコントロールするのに最適な配合となっています。また全ての材料はオーガニックであり、さらにNon-GMO(遺伝子組換え作物不使用)でもあります。
グルテン、乳製品(カゼイン、乳糖)、大豆は使用されていないので、これらの栄養素にアレルギーをお持ちの方でも安心して飲むことができます。

 

RSP Nutrition, TrueFit, ホエイプロテイン、バニラ味 (940 g)(商品リンク)
このプロテインパウダーは、牧草のみで飼育された乳牛から取れたミルクを使用しています。また、これらの乳牛は抗生剤や成長ホルモンなども一切使用されていません。
また、腸内環境を整えるためにとても大切なプロバイオティクス&プレバイオティクスが配合されています。脂質には体脂肪の燃焼を促すと言われているMCTオイルが含まれています。

ベジタリアン

質の良いタンパク質を含む完全な植物性プロテインは、数が限られています。

以下がベジタリアンの方々におすすめのプロテインパウダーです。

NovaForme, ソイコンプリート・プロテイン(商品リンク)

こちらはオーガニックのソイプロテイン(大豆プロテイン)です。
乳糖不耐症(乳糖のアレルギー)やカゼインにアレルギーがあるならば、こちらのソイプロテインをおすすめします。
サイズは670g。値段は約1500円です。1日20g摂ると約1か月、40gで半月分になります。

オーガニックプロテインGarden of Life,オーガニック・プラント・フォーミュラ(568 g)(商品リンク)
このプロテインパウダーには、14種類の植物由来のタンパク質が使われています。
主に種子類と豆類のタンパク質です(大豆は不使用)。また、遺伝子組み換え食品も使われていません。さらに、プロバイオティクスと消化酵素が配合されており、腸内環境にとっても優しいプロテインパウダーになっています。もちろん、妊婦の方にも安心して飲んでいただけます。ただ、800gで3500円と、他のプロテインパウダーよりもやや高めです(しかし、それ以上にクォリティは群を抜いています)。

まとめ

プロテインパウダーは、質の良いタンパク質を迅速に供給してくれるとても便利なものです。

全ての人にプロテインパウダーが必要というわけではありませんが、筋トレをしている人にとっては必須のサプリメントになることでしょう。

また、食事から十分なタンパク質がとれていない場合(特にベジタリアンの人)も、必要なサプリメントです。

上記でご紹介したおすすめのプロテインパウダーを参考にして、いただけたら幸いです。

 

ボディビル歴33年。国内外のボディビル大会で優勝・入賞経験多数。自らの肉体を実験台にして、ウエイトトレーニングや食事(サプリメント)を実践。医学博士号(スポーツ医学)所持。プロフィール詳細。

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プロテインの副作用

参考文献

  1. Power OHallihan AJakeman P: Human insulinotropic response to oral ingestion of native and hydrolysed whey protein. 2009 Jul;37(2):333-9 (http://bit.ly/2OjEbuu).
  2. Overduin JGuérin-Deremaux LWils DLambers TT: NUTRALYS(®) pea protein: characterization of in vitro gastric digestion and in vivo gastrointestinal peptide responses relevant to satiety. 2015 Apr 13;59:25622 (http://bit.ly/2QyLPnI). 
  3. Li HPrairie NUdenigwe CCAdebiyi APTappia PSAukema HMJones PJAluko RE: Blood pressure lowering effect of a pea protein hydrolysate in hypertensive rats and humans. 2011 Sep 28;59(18):9854-60 (http://bit.ly/2r6fF8a). 

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