梨状筋の解剖学と関連症状

梨状筋は股関節外旋筋の一つです。梨状筋以外の股関節の外旋筋には、内閉鎖筋、外閉鎖筋、大腿方形筋、上双子筋、下双子筋があります。

また、梨状筋はしばしば坐骨神経痛の原因になります。これは梨状筋症候群と呼ばれていますが、関連症状のセクションで解説してあります。

解剖学

起始;前仙骨孔S2-S4の間

停止;大転子(上縁)

作用;股関節の外旋

神経支配;仙骨神経叢、L5-S2

 

関連症状

トリガーポイント

 

梨状筋に起因する関連痛領域には以下の2か所があります。

  1. 大坐骨孔
  2. 大転子

大転子周辺の痛みは股関節に起因する問題(股関節の運動障害)との鑑別が必要になります。

梨状筋症候群

梨状筋と坐骨神経の解剖学的な位置関係は以下の図を参考にしてください。

坐骨神経は大坐骨孔から出た後、梨状筋の下側を通り、下肢に向かって下降しています。

梨状筋の拘縮による坐骨神経の絞扼は、梨状筋と交差する領域(梨状筋下縁)で起こりやすいです。

また、長時間の座位やでん部からの転倒(打撲)などにより、梨状筋に炎症反応が起こっている場合も坐骨神経痛の原因となります。

この場合、梨状筋で発生した炎症物質が坐骨神経に伝搬されて、それにより坐骨神経の炎症が誘発されることで坐骨神経痛が現れます。

梨状筋と仙骨の捻れ

仙骨の運動軸は上図の通りです。

停止側(股関節側)を固定した状態で梨状筋が収縮すると、仙骨には上図で示した矢印の方向に捻れます。

関連動画

 

 

関連記事

梨状筋症候群は稀な疾患です。複数のリサーチによると梨状筋に起因する坐骨神経痛は、全体の0.33~6%に過ぎません。しかし、腰椎周辺以外に起因する坐骨神経痛では比較的好発する症状です。

関連記事

梨状筋起因の坐骨神経痛は、1928年にYeomanによって初めて提唱されました。当時、彼はこの疾患を『仙腸関節周囲炎』と表現していました。 梨状筋症候群という疾患名はRobinsonによって初めて使われました。(D.R. […]

 

坐骨神経はL4-S3脊髄神経が束になった後、大坐骨孔を外に出ます。その後梨状筋の下、坐骨結節の外側を通り、大腿後面、下腿後面へと下行していきます。大腿後面において、脛骨神経と総腓骨神経に枝分かれしています。

関連記事

坐骨神経について以下の項目を解説しています。 走行 支配筋 坐骨神経痛 絞扼箇所 坐骨神経の走行 坐骨神経はL4-S3脊髄神経が束になった後、大坐骨孔を外に出ます。 その後梨状筋の下、坐骨結節の外側を通り、大腿後面、下腿[…]

 

脊柱管狭窄症の原因は、先天性と後天性に分類されます (Ciricillo SF, 1993)。後天性の脊柱管狭窄症の主な要因は、加齢や反復負荷に伴う腰椎(椎体、椎間関節)や椎間板の変性です。

関連記事

脊柱管狭窄症は、1954年にVerbiestによって初めて報告されました (Verbiest H, 1954)。脊柱管の狭窄により神経や周辺組織の圧迫によって引き起こされる症状のことです。 脊柱管狭窄症でもっとも多い原因は[…]

 

椎間板ヘルニアが脊髄神経を刺激しているなら、腰部からでん部、大腿後面、下腿後面、足にかけて関連痛(坐骨神経痛)が現れます。

関連記事

腰椎には5つの椎骨(L1~L5)があります。それぞれの椎骨の間には椎間板があり、衝撃吸収の役割を持っています。 椎間板は線維輪と髄核の2つの構造によって構成されています(図1)。髄核はジェル状の構造で周囲を線維輪によって覆[…]

記事はいかがでしたか?

こちらには記事を読んでいただいた方にもっとも適した広告が表示されます。

最新情報をチェックしよう!