活性酸素

活性酸素の酸化ストレスから身体を守る方法

活性酸素というのは、酸素から作られます。酸素が還元(酸素分子が不対電子を捕獲)されることで、活性酸素が発生します。

活性酸素には殺菌や解毒作用があり、私たちの身体を外敵から守る役割をもっています(カビやウイルスが体内に侵入してきた際に守ってくれます)。しかし、その一方で活性酸素は万病のもとと言われています。

なぜなら、活性酸素には強力な酸化作用があるからです。鉄の釘を水に浸けておくと次第に錆び(さび)ができますが、活性酸素は身体の中に錆びを作る作用をもっています(これが活性酸素の酸化作用です)。

4種類の活性酸素

活性酸素には以下の4種類があります。

  1. スーパーオキシドアニオンラジカル
  2. ヒドロキシルラジカル
  3. 過酸化水素
  4. 一重項酸素

 

活性酸素による身体へのダメージ

先にも書きましたが、活性酸素は強力な酸化作用を持っています。この酸化作用が私たちの身体に悪影響を及ぼします。

身近なものですと、活性酸素はシミやそばかす、しわの原因になります(酸化=老化、つまり活性酸素によるダメージは老化スピードを早めます)。

また、活性酸素は細胞膜を構成している脂質、筋肉の主成分であるタンパク質、さらにはDNA(遺伝子)にダメージを与えます。

活性酸素により細胞膜がダメージを受けると、細胞の中に納まっていたサイトカイン(炎症性)が漏れ出し全身に拡散されます。

炎症性サイトカインは、さらに多くの細胞を破壊していくので、そこでまた活性酸素が発生します。炎症については、このセクションの下部に関連記事のリンクを入れておきましたので、ご一読ください。

たとえば、活性酸素により膵臓のβ細胞(ランゲルハンス島にあります)がダメージを受けると糖尿病となります。また、水晶体に含まれているタンパク質がダメージを受けると白内障を発症します。

これら以外にも、活性酸素は癌(がん)や心筋梗塞、脳梗塞、またアトピー性皮膚炎などの原因にもなります。

活性酸素の攻撃をもっとも受けるのがミトコンドリアです。ミトコンドリアは「細胞の発電所」と言われています。つまり、ATP(エネルギー)の産生にとって非常に重要な構造です。

ミトコンドリアが活性酸素によりダメージを受けると、さらに多くの活性酸素が生成されてしまいます。また、ミトコンドリアの機能低下は、エネルギー産生の低下を引き起こし、さまざまな体調不良の原因になります。

炎症については以下の記事で解説しています。

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活性酸素を除去してくれるSOD

SODはSuper Oxide Dismutase(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)の頭文字を取って付けられています。強力な抗酸化作用を持つ物質で、活性酸素を除去する働きがあります。

SOD以外の抗酸化酵素(活性酸素による酸化をブロック)には、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどがあります。SODには亜鉛が含まれ、細胞の老化防止に一役買っています(従って、SODの体内産生には亜鉛は重要な栄養素となる)。

SODは特にスーパーオキシドアニオンラジカルの除去に有効です。しかし、その際に過酸化水素(これも活性酸素の一つ)が生じます。

ちなみに、過酸化水素を抗酸化する酵素が、カタラーゼとグルタチオンペルオキシダーゼの2つです。

過酸化水素は次にヒドロキシルラジカルに変化します。ヒドロキシルラジカルは活性酸素の親分のような存在で、とても強力な酸化作用を持っています。

しかし、40歳を過ぎるころから、SODやカタラーゼの産生量が低下することがわかっています。従って、外から積極的に摂取していかないと、老化スピードが加速し、さまざまな疾病に罹るリスクも高くなります。

SOD酵素Source Naturals, SODパワー, 250 mg, 60錠
SODパワーは、遊離基(フリーラジカル)のダメージから細胞や組織を保護するために身体の中で最も重要な酵素である。科学的研究によると、グリソディン(GliSODin)は、身体自体がスーパーオキシドジスムターゼを生産するのをサポートすることが示されています。SODパワーは、100%ベジタリアンであり、小麦タンパク質抽出物のグリアジンで構成されています。グリアジンは、消化管内でSODを分解から保護し、吸収を促進します。

Now Foods, 亜鉛、50 mg、250粒
亜鉛は、骨格系、免疫系、神経系、および内分泌系を含む体内の多くの臓器と系統の正常な機能に不可欠です。亜鉛は、タンパク質および炭水化物の代謝、RNA / DNAの合成、および細胞間シグナル伝達に関連する何百もの酵素反応に必要なミネラル補因子です。また、酸化過程に対する体の防御で重要な役割を果たすことも知られており、特に健康的な加齢維持に有効です。

SODの体内産生に必要な亜鉛に関する記事です。

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活性酸素を除去してくれるビタミン

ビタミンの中で特に強い抗酸化作用を持っているのが、ビタミンA、C、Eの3つです。これら3つのビタミンは同事に摂ることで、抗酸化作用が最大化されます。

それぞれ、作用する部分が異なります。たとえば、ビタミンCは水溶性のビタミンなので、主に体液中(血液、リンパ液など)での抗酸化に威力を発揮します。一方、ビタミンEは脂溶性なので、細胞膜(脂質で構成されている)などで作用します。

また動脈硬化や脳梗塞に罹ると過酸化脂質が大量発生しますが、このようなときはビタミンBの摂取が効果的です。さらに、ビタミンBは老化や活性酸素の発生源の糖化反応を強力に抑制する作用も持っています。

コエンザイムQ10も抗酸化物質ですので、これらのビタミンと併用することで、さらに活性酸素の除去を促進します。

Now Foods, ビタミン A、25,000 IU、ソフトジェル 250粒
ビタミンAは、目、皮膚、呼吸器、胃腸管および尿路を含む身体の内面および外面に並ぶ組織の維持に不可欠です。

Now Foods, C-1000、250粒
ビタミンCは、免疫系における重要な役割でよく知られている水溶性栄養素です。また、ビタミンC はコラーゲン(結合組織の構造たんぱく質)の生成にも必要なため、皮膚や骨、関節の健康に重要な役割を果たします。ビタミンCはアミノ酸の代謝や神経伝達物質の合成、養蚕や鉄分等の多くの栄養素の活用に必要です。また、体の細胞や分子を遊離基や通常の代謝や環境的ストレスから生まれる活性酸素分子によるダメージから守る上で効果的な抗酸化物質でもあります。本製品はビタミンCを継続的に放出するよう特別に開発され、ビタミンCを増量するためローズヒップを配合しています。

ビタミンENow Foods, サン-E 400、 120ソフトジェル
NOWサン-E 400は、アイデンティティ・プリザーブド(IP)、非遺伝子組換えのヒマワリ種子油に由来する大豆を含まない天然ビタミンEです。ビタミンEは主要な抗酸化物質であり、体の脂質過酸化に対する最初のディフェンスです。これは、細胞のフリーラジカルや酸化のダメージに対する保護にとって特に重要なものです。これらの防御的なメリットは、通常の食生活で消費される食品に含まれる量をサプリで補充すると得ることができます。

California Gold Nutrition, CoQ10、100 mg、120ソフトジェル
コエンザイムQ 10(CoQ10)は、健康的なミトコンドリア機能の必須成分として認識されており、研究では心血管系と全体的な心臓の健康をサポートすることが示唆されています。California Gold Nutrition CoQ10コエンザイムQ10は、米国で製造されているTapiOgels™タピオカベジソフトジェルで、独自の発酵プロセスを使用して製造されたUSPグレードコエンザイムQ10を特徴としています。

ファイトケミカル(Phytochemical)

ファイトケミカルとは、野菜や果物に含まれている植物にしか合成できない栄養素のことです。

抗酸化作用、デトックス後下、免疫力の向上などの働きがあります。また、癌(がん)や糖尿病、心臓病などの生活習慣病の予防にも役立ちます。

ファイトケミカルの種類

ファイトケミカルには非常に多くの種類があります。代表的なものには、ポリフェノールやイソフラボン、ベータカロチンなどがあります(聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか)。

それぞれのファイトケミカルには、色がついている(色素)のが特徴です。緑黄色野菜と言いますが、野菜の色にはいろいろありますが、それぞれ異なるフィトケミカルによるものです。

従って、バランス良くファイトケミカルを摂るためには、異なる色の野菜を摂る必要があります。

ファイトケミカルを多く含む食品には、赤ワインや緑茶、ブルーベリー、チョコレート、トマト、そば、大豆、人参などがあります。

ファイトケミカルが含まれている食品
ポリフェノール;赤ワイン
カテキン;緑茶
ルチン;そば
アントシアニン;ブルーベリー
リコピン;トマト
イソフラボン;大豆

ファイトケミカルの働き

アントシアニンは網膜のロドプシンに働き眼精疲労を回復させ、ルテインは網膜変性症(黄斑変性症など)を予防します。さらに、リコピンは前立腺がんや肺がんの予防に有効であり、ノコギリヤシは前立腺肥大症を改善する。
このようにファイトケミカルには、さまざまな疾患リスクを軽減させる役割があります。私たちの健康にとって、とても重要な物質です。
ファイトケミカルによる病気の予防・改善効果
アントシアニン=眼精疲労の回復
ルテイン=黄斑変性症の予防・回復
リコピン=前立腺がん、肺がんの予防
ノコギリヤシ=前立腺肥大症の予防・改善

ファイトケミカルの摂り方

ファイトケミカルを摂るには、野菜や果物を食べればよいのですが、調理の仕方によって摂れる量がかなり違います。以下にファイトケミカルをよりたくさん摂るための方法をまとめておきました。
  • 皮も一緒に食べるようにする
  • βカロテンが豊富な野菜(人参など)は油で炒める
  • 野菜を煮込むときは蓋をする
  • 野菜スープにする

色別ファイトケミカルの効果・効用

ファイトケミカルの働きについて書きましたが、「栄養で人生は変わる」という書籍に色別で分類されていたので、それをご紹介します(詳細は本を参照ください)。

野菜 効果・効能
赤色 トマト、赤パプリカ 抗酸化作用(活性酸素を除去、アンチエイジング)
緑色 ほうれん草、ピーマン、ブロッコリー 抗酸化作用の強いクロロフィルが豊富
白色 玉ねぎ、キャベツ デトックス効果、発がん性物質の除去
黄色 人参、とうもろこし、大豆 βカロテン、ルティンが豊富、免疫力の向上、目の粘膜保護
紫色 なす、小豆 アントシアニン、血液サラサラ効果、動脈硬化の予防、アンチエイジング効果
黒色 ごぼう、黒ゴマ 抗酸化作用、アンチエイジング、発がん抑制効果

まとめ

活性酸素は少量であれば、私たちの健康を守る重要な物質です。しかし、老化などによりSODなどの活性酸素除去酵素の体内産生が低下すると、身体の中の活性酸素濃度が高まります。

余った活性酸素は、細胞にダメージを与え、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞、慢性疲労症候群などさまざまな体調不良を引き起こします。

従って、健康な身体を維持するためには(特に40歳以降)、抗酸化物質を積極的に摂る必要があります。以下に代表的な抗酸化物質を列記しておきます。

  1. SOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)
  2. ビタミンA、C、E
  3. コエンザイムQ10
  4. ファイトケミカル

 

【ボディビル歴33年】大学入学と同時にボディビルを開始。その後、現在までウエイトトレーニングを続けている。国内・海外でのボディビル大会での優勝・入賞歴多数。
【瞑想歴19年】33歳の時、インドに3か月滞在。1日12時間のヴィパッサナー瞑想を行う。それ以来、朝晩の瞑想は欠かしていない。
【カイロプラクティック歴22年】大学卒業と同時に渡米。カリフォルニア州のカイロプラクティック免許を取得しLAにて10年臨床経験を積む。オリンピック帯同経験あり。2007年に帰国。プロフィール詳細はこちら

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