肩甲挙筋の解剖学と関連症状

肩甲挙筋は頚椎から肩甲骨(上角)に向かって伸びている筋肉です。

肩甲挙筋のコンディションは、頚椎の姿勢や肩関節の運動に影響を及ぼします。また上背部の痛みを引き起こすこともあります。

本記事では肩甲挙筋の解剖学と関連症状について解説してあります。

解剖学

起始;C1-C5の横突起(後結節)

停止;肩甲骨の上角

作用;肩甲骨の内上方への挙上

神経支配;肩甲背神経

 

関連症状

肩甲背神経絞扼症候群

C5頚神経から分岐した後、前斜角筋の下層を後方に向かって走行しています。その後、中斜角筋を貫通し肩甲挙筋の下層に出ます(下図)。

そして、菱形筋の下層を肩甲骨内側縁に沿って下行しています。

肩甲背神経は中斜角筋において絞扼されることがあります。また、肩甲背神経の分枝が肩甲挙筋を貫通しているため、肩甲挙筋においても絞扼されることがあります。

主訴は肩甲骨内側縁の痛みです。また、肩や上肢の痛みを訴える場合もあります。

肩甲背神経の支配筋は、肩甲挙筋、大菱形筋、小菱形筋です。従って、肩甲背神経の絞扼により、翼状肩甲骨が現れることもあります。

症状の慢性化により、これら支配筋の委縮が起こります。

関連動画

 

 

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