尺側手根伸筋腱炎の原因・症状・治療法

尺側手根伸筋腱炎は手首の回内・回外、屈曲・伸展の反復動作によって引き起こされます。ゴルフやテニスなどが原因になります。

本記事では尺側手根伸筋腱炎の原因・症状・治療法について解説してあります。

解剖学

尺側手根伸筋の起始・停止・作用・神経支配は以下の通りです。

起始;上腕頭:外側上顆、内側側副靭帯、 尺骨頭:尺骨後面

停止;第5中手骨底

作用;手関節の伸展、尺屈

神経支配;橈骨神経(深枝)、C6-C8

 

 

 

原因・メカニズム

手首の回内・回外、屈曲・伸展の反復動作により、尺側手根伸筋腱(停止側)に摩擦が発生します。従って、過剰な手首の反復動作は尺側手根屈筋腱の炎症を引き起こします。

腱への断続的な負荷により、組織の変性・線維化が進行し、周辺組織への癒着が広がります。

症状

手首尺側に局所的な鋭い痛みが現れます。

テニスやゴルフなど手首を捻る動作によって痛みは増悪します。

検査法

触診検査

尺側手根伸筋腱の触診を行い、圧痛の有無を確認します。

停止の第5中手骨底から近位に向かって腱を触診していきます。

運動検査

尺側手根伸筋腱炎の場合、以下の運動検査によって手首(尺側)に痛みが現れます。

  • 手首尺屈位における伸展への抵抗
  • 手首の橈屈+屈曲(他動的)

治療法

筋膜リリース

尺側手根伸筋腱のリリースを行います。

アジャスメント

以下の部位に可動域制限(フィクセーション)が認められたら、適宜アジャスメントを行います。

  1. 尺骨遠位端
  2. 第5中手骨

ホームエクササイズ

尺側手根伸筋のストレッチを行います。

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