短橈側手根伸筋の解剖学と関連症状

短橈側手根伸筋は前腕にある伸筋の一つです。短橈側手根伸筋の腱はテニス肘(外側上顆炎)の好発部位となっています。

本記事では短橈側手根伸筋の解剖学と関連症状について解説してあります。

解剖学(起始・停止・作用・神経支配)

起始;外側上顆、橈骨輪状靭帯

停止;第3中手骨底

作用;手関節の伸展

神経支配;橈骨神経(深枝)、C6-C8

関連症状

外側上顆炎(テニス肘)

外側上顆炎では、外側上顆に付着している伸筋腱の腱症が起こっています。腱症とは腱の変性のことです。

手関節伸展の反復動作により、伸筋腱にマイクロトラウマが発生します。それに伴い、腱の線維化(変性)が進行し外側上顆炎に至ります。

外側上顆炎の好発部位は短橈側手根伸筋腱です。

主症状は肘外側の痛みです。局所的な鋭い痛みが特徴であり、しばしば前腕外側の関連痛を引き起こします。また、握力の低下や手で物を掴んで持ち上げる動作の時に痛みの増悪を訴えるケースが多いです。

橈骨管症候群

橈骨管は伸筋腱や骨によってできる肘外側にあるトンネル構造です。

橈骨神経

橈骨症候群は、橈骨管における後骨間神経(橈骨神経深枝)の絞扼障害のことです。

橈骨管において後骨間神経が絞扼されることにより、肘関節(外側上顆周辺)から前腕外側にかけて痛み(鈍痛であることが多い)が現れます。

また、後骨間神経の支配筋の運動障害が現れることもありますが、まれな症状です。具体的には指の伸展が動かしにくくなります。

  • 総指伸筋
  • 小指伸筋
  • 尺側手根伸筋
  • 回外筋
  • 長母指外転筋
  • 短母指伸筋
  • 長母指伸筋
  • 示指伸筋

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