筋トレと有酸素運動(ランニングやジョギングなど)を組み合わせる場合、どちらを先に行った方が良いのかわからないという人は多いです。
結論から書くと、「どちらにもメリットがある」ということになります。だから、筋トレと有酸素運動の順番には優劣はありません。
まずは、筋トレと有酸素運動の効果を明確にする必要があります。
筋トレの効果
基本的に筋トレの効果は「筋肥大」です。
筋トレをする人の理由には、「メリハリのある身体を作る」とか「体脂肪を減らしてダイエットしたい」とか「病気にならない身体作りのため」とかいろいろあると思います。
しかし、その根底には「筋肥大」があります。筋肉を大きく・強くすることで、丈夫な身体を作り、健康管理をすることができます。
もちろん、ハードコアボディビルダーのように極限まで筋肥大を追求しているという人もいると思います。
筋肥大のためには、単位時間当たりの運動強度を上げる必要があります(つまり、ターゲットとなる筋肉に強い負荷を与えなければなりません)。
筋トレは無酸素運動である
筋トレによるエネルギー代謝のスタイルを「解糖系」と言います。解糖、つまり糖質(グリコーゲン)を分解してそれによりエネルギー(ATP)を産生しています。ちなみに、グリコーゲンは筋肉または肝臓に貯蔵されています。
難しいことはさておき、筋トレでは糖質が消耗されるということ。従って、筋トレをやっても体脂肪の燃焼は起こりません(実際はそんなことないですが)。
この点がランニングなどの有酸素運動との大きな違いになります。
しかし、筋トレにより身体全体の筋肉の割合が増えると基礎代謝量が上がります。基礎代謝量が上がると「太りにくい」身体になりますので、ダイエット効果が期待できます。
基礎代謝量とは、安静時の生命維持活動(呼吸や内蔵運動など)において必要とされる最低限の熱量のこと。基礎代謝量は加齢とともに低下する傾向がありますが、筋肉量に比例するので基礎代謝量を上げるためには筋トレによる筋肥大が大切です。
有酸素運動の効果
有酸素運動の代表には、ランニングやジョギング、水泳、自転車漕ぎなどがあります。全て、低負荷の強度で長時間(30分以上 )行う運動です。
有酸素運動の効果には様々なものがあります。ここでは、特に(個人的に)重要視している3つの効果についてご紹介します。
- 体脂肪の燃焼
- 心肺機能の向上
- 骨格筋の毛細血管が発達
体脂肪の燃焼
体脂肪を燃焼させるために有酸素運動を行っているという人は多いと思います。
ランニングなどの有酸素運動のエネルギー源は、脂肪酸です。ここが筋トレ(無酸素運動)との大きな違いになります。
心肺機能の向上
有酸素運動により心筋が発達します(心筋の過剰発達が「スポーツ心臓」)。
心筋が発達すると1回の拍動で押し出せる血の量が増えるので、脈拍が低下します。また、血液循環も良くなるため浮腫み(むくみ)などの症状が改善します。
血液循環が良くなると血圧も低下するので、有酸素運動は高血圧の改善にも効果的です(ただし、現在高血圧の治療を受けている方は、有酸素運動を開始する前に担当医と相談してください)。
骨格筋の毛細血管が発達
有酸素運動により心肺機能が向上して血液循環がよくなると、骨格筋へ入っていく毛細血管が発達します(血管新生)。
毛細血管が発達することで、身体の隅々まで栄養が行き渡るようになります。これは、筋肥大を目指しているトレーニーにとっては重要な情報です。
なぜなら、骨格筋の毛細血管が発達していれば、それだけ多くの栄養(アミノ酸)が筋肉細胞に供給され、筋肥大の効率がアップするからです。
また、運動によって生じた乳酸などの代謝物質の排泄もスムーズに行われるようになるので、疲労からの回復も迅速に行われます。
先に筋トレを行い、次に有酸素運動をすることのメリット
あくまでも筋肥大を追求するなら、まずは筋トレから始めることをおすすめします。各々の運動のエネルギー代謝を考慮した場合、その方がベターな選択と言えます。具体的に説明していきます。
先にも書いたように、筋トレのエネルギー源はグリコーゲンです。一方、有酸素運動のエネルギー源は脂肪酸です。
しかし、有酸素運動では100%脂肪酸がエネルギー源となるわけではありません。グリコーゲンもある程度消費されます。
従って最初に有酸素運動を行った場合、グリコーゲンが枯渇状態となり、筋トレで力を発揮できなくなってしまいます。
筋トレの後に有酸素運動を行うもう一つのメリットは、体脂肪の燃焼効率が上がることです。
筋トレによって、グリコーゲンがある程度消耗された後ならば、有酸素運動では体脂肪がエネルギー源として使われやすくなるからです。
先に有酸素運動を行い、次に筋トレをすることのメリット
先に有酸素運動を行い、次に筋トレをするのもありだと思います。それでは、このパターンのメリットについて解説していきます。
筋トレの前に有酸素運動を行う最大のメリットは、「怪我の予防」つまりウォーミングアップ効果です。
有酸素運動により血液循環を良くしておくことで、筋肉の柔軟性を高めることができるからです。ただし、この場合の有酸素運動は10分から20分程度の軽い運動に留めるのが良いでしょう。
特に筋トレをメインの運動にしているトレーニーの場合、いざ筋トレを始める際、エネルギー切れにならないように注意が必要です。あくまでも、ウォーミングアップ程度にやるようにしましょう。
実際、本格的な運動前のウォーミングアップとして、「ストレッチよりも軽い有酸素運動の方が安全」であると言えます。
なぜなら、血液循環が悪い状態でいきなりストレッチをすることで、筋肉や腱を痛めてしまう場合があるからです。
従って、もし筋トレ前にストレッチをやる場合、まずは有酸素運動で身体を温めて(血液循環を良くして)から行うと良いでしょう。
以上のことを踏まえると、現段階で考えられる最適解は、以下のようなルーティンになります。
- 軽い有酸素運動(ランニング)を10分
- ストレッチ
- 筋トレ
- 有酸素運動30分
まとめ
- 筋トレと有酸素運動の順番に優劣はない
- 筋トレの効果は筋肥大
- 有酸素運動の効果は、「体脂肪の燃焼」、「心肺機能の向上」、「骨格筋の毛細血管の発達」
- エネルギー代謝を考慮した場合、先に筋トレを行い、その後に有酸素運動を行うのが良い
- ウォーミングアップとして有酸素運動を行うなら、筋トレの前に行うのもあり
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