慢性的な疲労感、微熱、不眠、頭痛は副腎疲労症候群かもしれない

副腎疲労症候群とは?

副腎疲労症候群(Adrenal fatigue syndrome;アドレナルファティーグシンドローム)というのは、副腎がオーバーワークになり機能低下を起こすことが原因です。

この症候群の症状の特徴は、慢性的な疲労感(だるい)、微熱(熱っぽい)、不眠、頭痛、悪寒などです。風邪の症状に似ているので、風邪薬を処方されたりしますが症状は良くなりません。

また、更年期障害と誤診されている場合も多いようです。

おそらく、かなり多くの方が副腎疲労症候群と知らずに悩んでおられるのではないでしょうか。

本記事では慢性疲労症候群について、その発生機序(メカニズム)から原因、特徴、さらに改善法まで解説していきます。

それでは、次のセクションで副腎について簡単に説明します(副腎疲労症候群の理解には欠かせません)。

副腎とは?

副腎というのは、腎臓の上に乗っている小さな臓器です。

副腎は副腎皮質と副腎髄質の二層構造となっており、様々なホルモンが生成・分泌されています。

副腎皮質から分泌分泌されているホルモンは、副腎皮質ホルモン(コルチゾールなど)と呼ばれています。また副腎髄質からは副腎髄質ホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)が分泌されています。

コルチゾールは、血糖値や血圧、心拍のコントロールが主な作用です。また、中枢系にも作用します(気分、思考、記憶、集中力)。

副腎疲労症候群では、副腎の機能低下によりこれらのホルモン分泌が正常に行われていない状態です。血糖値や血圧、心拍などが不安定となり、それが体調不良(慢性的な疲労感や頭痛、気分の落ち込みなど)を引き起こします。

副腎皮質ホルモンの分泌コントロール

それでは、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌がどのようにコントロールされているかについて、説明します(少々難しい内容ですので、興味ない方はスキップしていただいて構いません)。

視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が分泌されます。CRHの作用により、下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌されます。さらにACTHの作用により、副腎で副腎皮質ホルモンが分泌されます。

また、コルチゾールが大量に分泌されるとネガティブ・フィードバックが視床下部、脳下垂体に作用し、CRH、ACTHの分泌が抑制されます。

このように、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)は、視床下部と脳下垂体と連携して分泌量をコントロールしています(これをHPA軸と呼びます)。

コルチゾールについて
コルチゾールは副腎から分泌されるホルモンです。特にストレスを受けた時に分泌されます(それ故、『ストレスホルモン』と呼ばれています)。コルチゾールには、タンパク質・脂質・糖質の代謝をコントロールしたり、体温・血圧・血糖値の上昇を促す作用があります。生命維持にとって、重要なホルモンです。
その一方でコルチゾールの過剰分泌(慢性的なストレス下で起こる)は、血圧の上昇、血糖値の上昇などを引き起こすため、高血圧症、心臓病、脳梗塞、糖尿病などのリスクが高くなります。

副腎疲労症候群の原因

副腎疲労症候群の原因には、以下の4つがあります。

  1. 心身のストレス
  2. 生活習慣の乱れ
  3. 腸管の炎症
  4. 甲状腺機能の低下

一般的に病院では副腎疲労症候群という診断をしません。なぜなら、医師にこの疾患の認識がないためです。従って、患者の多くは適切な治療を受けることができていません。

実は副腎疲労症候群であるにも関わらず、抗うつ剤や痛み止めを処方されたります。これでは、対症療法であり症状の改善は望めません。

副腎疲労症候群の原因の一つがストレスなので、この部分の改善も必要になります。また、栄養の問題が引き金になっている場合もあります。その場合は栄養処方(サプリメントなど)で改善させることが可能です。

それでは、一つ一つの原因についてお話していきます。

心身のストレス

脳がストレスを感知すると、視床下部から副腎皮質刺激ホルモンを放出し、それに副腎は反応してコルチゾールを分泌します。

副腎は精神的・身体的負荷(ストレス)によって反応する臓器です。

つまり、副腎が疲弊(オーバーワーク)になるのは、多くの場合、ストレスが原因になっているのです。現代はストレス社会ですから、非常に多くの人が副腎疲労症候群に陥っています。

仕事上のトラブルや親族の死、病気や借金など全てストレス源となり得ます。これらのストレスが積み重なって副腎は次第に疲弊していきます。

副腎疲労症候群を発症してしまうのは、ストレスに対する閾値(個人差があります)を超えた時です。つまり、自分の許容範囲を超えてしまうと副腎疲労症候群が発症してしまうのです。

また、他の慢性疾患を抱えている人も副腎疲労症候群になってしまうリスクがあります。

例えば、慢性的な腰痛で悩んでいる場合、それが数年、数十年に及べば、副腎へのストレスはどんどん蓄積していきます。

このようなケースでは、腰痛の他に副腎疲労症候群が加わるため、症状は輪をかけて悪化します(腰痛も尚更治りにくくなります)。

生活習慣

生活習慣の乱れは、自律神経系の乱れにつながります。自律神経系が整っていないと、睡眠の質の低下により慢性的な疲労感に陥りやすくなります。

また、食習慣の乱れ(過食や偏食など)は体調不良(特に胃腸機能の不具合)を引き起こします。甘いもの(糖質、単糖類)への偏食傾向などは、典型的な例です。ちなみに、糖質は腸管の炎症の原因になります。

腸管の炎症

腸管の細胞から炎症性サイトカインが生成・分泌されると、それが血中に溶け出し、全身を駆け巡ります。
炎症性サイトカインは、関節や筋肉、神経、さらに臓器にも影響を及ぼします。もちろん、副腎もその例外ではありません。
つまり、腸管の炎症は副腎の炎症を引き起こす可能性があります。

甲状腺機能の低下

人口の10%以上に甲状腺機能が低下が起こっていると言われています。
甲状腺ホルモンとコルチゾールとは逆相関の関係にあります。つまり、副腎疲労症候群によりコルチゾールの分泌量が増えると、甲状腺ホルモンの分泌量が減少します。
従って、副腎疲労症候群の患者は甲状腺ホルモンの分泌量が減少(甲状腺機能低下症)しています。甲状腺ホルモンの分泌量が減ると、体温の低下(低体温)、乾燥肌、脱毛、集中力の低下などの症状が現れます。
甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの分泌量が減少することで代謝の低下が起こります。体温の低下、体重の増加、気力の低下、脱毛、乾燥肌などが主な症状です。高齢の女性にしばしば見られます。ヨウ素(ヨード)は甲状腺ホルモンの材料になるので、ヨウ素不足によって甲状腺機能低下症になっている人もいます。

副腎疲労症候群の改善法(治し方)

副腎疲労症候群の根本的な問題は「心身のストレス」です。従って、もっとも効果的なのはストレスを解消することなのですが、「わかっているけど、それができないから困っている」という人がほとんどかと思います。

また、先にも書きましたが栄養摂取によっても改善は可能です。こちらは、主にサプリメントによる処方になります。最後に自律神経系のバランスを整えることも大切です。

従って、副腎疲労症候群の改善において重要な3本柱は以下の通りです。

  1. 栄養状態を整える
  2. 自律神経系のバランスを整える
  3. 心身のストレスを改善させる

栄養状態を整える

副腎疲労症候群の有無に限らず、バランスの整った食事が基本です。野菜、果物、肉類、種子類、全粒穀物からバランスよく食べるものを選んでください。

調理に使う油は、極力サラダ油を避け、オリーブオイルやココナッツオイルを使うようにしてください。これらのオイルにはオメガ3が多く含まれており、強力な抗酸化作用を持っています(活性酸素の除去に有効)。

逆に避けるべき食品は、チョコレートやケーキ類、砂糖(単糖類)を多く含んだ和菓子などです。また、コーヒーやコーラ、アルコールも極力摂らないようにしてください。

なぜなら、副腎疲労症候群の改善には、血糖値の安定化が非常に重要だからです。

また、パントテン酸を中心に多くのビタミンB群、ビタミンC、マグネシウムなどの微量元素も、副腎疲労症候群の改善に効果的です。

こちらの記事は活性酸素について解説してあります。

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マグネシウムについては、以下の記事を参照ください。

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自律神経系のバランスを整える

自律神経系は「身体の内側のリズム」であり、意識的・直接的に整えることは不可能です。しかし、間接的には整えることができます。

それは、「身体の外側のリズム」を整えることです。身体の外側のリズムというのは、生活習慣のこと。私が提唱する3つの生活習慣は以下の通りです。

  1. 運動習慣
  2. 睡眠習慣
  3. 食習慣

これら3つの習慣を整えることで、身体の外側のリズムが整っていきます。また、これら3つは全て相関関係(連動)にあるので、どれか一つが整ってくると他の習慣も追随して整ってきます。

運動習慣

できれば、毎日30分以上の運動が望ましいです。しかし、今まで運動習慣のなかった人にとって、これはなかなかハードルが高いかもしれません。

最初は数分でも構わないので、毎日続けられる運動(ストレッチでもOK)から始めてみてください。毎日が無理なら週3日から。週3日がダメなら週末の1日だけでも良いでしょう。

運動効果を期待するのではなく、最初は運動を習慣化することを目指してください。

睡眠習慣

睡眠習慣で大切なことは、「起きる時間を決めること」です(寝る時間でないところがミソ)。起きる時間を決めてしまうと、逆算すれば寝る時間が自動的に決まります。

例えば、朝5時に起床すると決めた場合、8時間睡眠なら夜9時には寝なければなりませんね。一度決めた起きる時間は床に就いた時間に関係なく、死守してください。

また、仕事がお休みの日(土日)であっても、朝起きる時間はいつも同じにするのも重要です。仕事が休みだからと言って、いつまでもベッド中でダラダラしていては、睡眠習慣は整いません。

食習慣

食習慣は一つ前のセクション(「栄養状態を整える」)とかぶりますが、ここではあくまでも習慣化をメインに説明したいと思います。

食習慣を整える上で大切なことの一つ目は、「いつも同じ時間に食事を摂ること」です。いつも朝ごはんを食べるのにスキップするのはご法度です。

また、寝る前にお腹が空いた時などはガッツリ食べるのではなく、ヨーグルトや牛乳、プロテインなどで空腹感を紛らわせるようにしてください。

「毎日同じようにすること」が習慣化にとって、もっとも大切なことです。

運動習慣、睡眠習慣、食習慣を整えて自律神経を正常化

心身のストレスを改善させる

副腎疲労症候群の改善には、心身のストレスを改善させることが、もっとも大切であり、根本的な解決法になります。

しかし、そもそも副腎疲労症候群になってしまう人は、ストレス耐性がないことが多いので、やみくもに「心身のストレスを改善せよ」と言ったところで難しいと思います。

心身のストレスを改善させるには、いくつか方法がありますが、今回はその内の一つをご紹介します。

私たちがストレスを感じる状況を考えてみましょう。その多くが、「コントロール不可能なものをコントロールしようとすること」で生じています。

ここでの大いなる勘違いは、「コントロール不可能なものをコントロール可能だと思いこんでいること」です。コントロール不可能なものをコントロールしようとすると、私たちは強いストレスを感じます。

コントロール不可能なものに対しては静観を貫くことです。この典型的なものが「人の心」です。自分の心は自分の意思でコントロールできても、他人の心をコントロールすることはできません。

従って、まずはコントロール不能なものと、コントロール可能なものの仕分け作業をしてみると良いでしょう。

仕分け作業によって、自分が今までストレスに感じていたことが明確化されます。すると、次第にそのことを客観視できるようになります。

そのとき、既にストレスとは無縁となっているはずです。

コントロール可能なものと不可能のものの仕分け作業から

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【ボディビル歴33年】大学入学と同時にボディビルを開始。その後、現在までウエイトトレーニングを続けている。国内・海外でのボディビル大会での優勝・入賞歴多数。
【瞑想歴19年】33歳の時、インドに3か月滞在。1日12時間のヴィパッサナー瞑想を行う。それ以来、朝晩の瞑想は欠かしていない。
【カイロプラクティック歴22年】大学卒業と同時に渡米。カリフォルニア州のカイロプラクティック免許を取得しLAにて10年臨床経験を積む。オリンピック帯同経験あり。2007年に帰国。プロフィール詳細はこちら

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