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足底筋膜炎(Plantar fasciitis)

足底筋膜は足底内側にある内側アーチを支えており、立位(または歩行の立脚相)において伸張されることで、地面からの衝撃吸収の役割を担っています(図1)。

図1 足底アーチ

また足底筋膜は踵骨隆起内側突起に起始を持ち、中足趾節(MP)関節の骨膜に停止を持っています(図2)。横中足靭帯と屈筋の腱鞘にも癒合部位があります。

図2 足底筋膜

症状

踵骨内側から足底アーチの痛み

足底筋膜炎は慢性炎症と考えられていましたが、現在は足底筋膜の変性であると考えられています(腱症と同じ症状)。踵骨内側(足底)から足底アーチにかけて鋭い痛みが現れます。片足にのみ症状が現れることが多いですが、両方の足に痛みを訴えるケースもあります。

起床時の疼痛

朝寝床から起き上がる時(また夜中にトイレに起きた時など)の一歩目に強い痛みを訴える患者が多いです。また長時間の座位の後、立ち上がる時にも痛みが生じることもあります。

バクスター神経

足底筋膜炎と似た症状にバクスター神経絞扼症候群があります。バクスター神経(Baxter’s  nerve)は外側足底神経から分岐した後、踵骨隆起の遠位を内側から外側に横切るように走行しています。この神経の絞扼により、踵の痛みや感覚麻痺などが現れます(足底筋膜炎と誤診する場合が多いので注意)。スプリンターやダンサー、体操選手などに見られる症状です。

図3 バクスター神経

 

原因

足底筋膜炎の原因は内因性のものと外因性のものに分類することができます。内因性のものには、機能的要因(関節の運動障害、筋力低下など)や器質的要因(組織の退行変性など)があります。また外因性のものは、過剰な反復動作や不適切なシューズなどがあります(表1)。

 

要因 コンディション
内因性要因 構造的要因 扁平足

ハイアーチ

肥満

機能的要因 下腿部筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)の拘縮

足部内在筋の機能低下

アキレス腱の拘縮

過剰外反膝

足関節の過剰回内

機能的下肢長差

足関節背屈の可動域制限

後脛骨筋の機能低下

変性的要因 足底腱膜の変性

脂肪体(踵)の変性

外因性要因 過剰な反復動作(マイクロトラウマ)

不適切なシューズ(サイズ、クッション等)

硬い路面でのランニングやジャンプ動作

 

表1 足底筋膜の原因

ウインドラスメカニズム

扁平足の場合、ウインドラスメカニズムが正常に機能していないため、荷重位において足底筋膜に強い伸張負荷がかかります。そのため、足底筋膜炎のリスクが高くなります。また扁平足患者では距骨下関節の外反変位や後脛骨筋の機能低下が併発していることがあり、症状の慢性化や悪化の原因になります。アキレス腱の柔軟性が欠如している場合も足底筋膜炎の原因になり得ます。

 

足底筋膜は足底アーチをサポートしている軟部組織です。足底アーチの中でも特に縦足弓の形状を維持する役割があります。これをウインドラスメカニズム(Windlass mechanism)といいます。ウインドラスメカニズムは歩行やランニングの推進力にも貢献しています。トーオフ(足趾離地)においてMP関節の背屈が起こると、足底筋膜には短縮する方向へ力が作用します。これにより縦足弓が挙上し足部の安定性をより強固にします(図3)。

図3 ウインドラスメカニズム

反復動作

またランニングやジャンプなどの反復動作により、足底腱膜(特に付着部の踵骨隆起内側突起)に過剰な負荷が加わります。それにより、組織の変性・線維化が進行し痛みが自覚されるようになります。

骨棘

足底筋膜炎患者の約50%に腸骨隆起内側突起の骨棘が認められます。しかし、骨棘と突起部の痛みの関連性にはエビデンスがありません。現段階では、骨棘は足底筋膜が何度も伸張されることで生じた現象であり、足底筋膜炎の痛みの原因とは考えられていません。

検査

触診検査

踵骨隆起内側突起を触診します。足底筋膜炎の場合、この部位に最も鋭い圧痛が触診されます。また内側足底筋膜から足底腱膜(内側)にかけても圧痛が触診されます。

治療

足底筋膜のリリース

足底腱膜の癒着部位を特定した後、その部位のリリースを行います。治療中、多少の痛みは伴いますが、患者の耐性に合わせて刺激量を調整します。

足関節背屈制限の改善

また足底筋膜炎の患者の足関節には、背屈の可動域制限があることがわかっています。従って、足関節背屈制限の改善も重要です。

インソール

扁平足が主原因の場合、インソール(足底アーチサポート)の使用が推奨されます。また距骨下関節の外反変位が認められる場合、アジャスメントも行うようにします。ホームエクササイズとしては足底筋膜やアキレス腱のストレッチが推奨されます。

足底筋膜のストレッチ

足底筋膜のストレッチは、足の指を背屈して行います。その際、他方手で足底筋膜を触診し、十分にストレッチされているのを確認しながら行います。最大ストレッチポジションで30秒維持します(写真1)。また、このポジションで足の指を底屈方向へ抵抗してもらうことも、症状改善に役立ちます。

写真1 足底筋膜のストレッチ